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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
未練-リグレット-
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を振り向く。
そこには、たった一人、目が覚めたままのアルビオン兵が立ちふさがっていた。
「今の魔法が効かなかった奴がいたのか。地下水…」
「い、いやいや!俺真面目にやってましたぜ?」
まさかぬかったのか?とさっきのねぎらいの言葉の取り消しとそれ相応の何かを執行すべきかと考えるシュウに、地下水は慌てて弁明し始める。
「お前は…そうか、あのときの…!」
声の主はシュウを見て目を細めた。
その兵士は、ヘンリーだった。
(この男、確か俺があの顔が光る黒いビーストと戦う前に…)
彼の顔を見て、シュウも目を細めた。ゼットンと戦う直前に会った、あのアルビオン兵だったことを思い出した。
「しかし、今お前たちは何をしようとしていた?まさか、子供を売りさばくためにこの船を強奪しようとしていたのではないのか?」
どうもヘンリーは、修たちのことを人攫いと奴隷売買人か何かと考えたようだ。状況が状況なだけに無理も無いという見立てもある。怪獣の出現中という状況下、船に詰め寄る男と彼に引き連れられている子供たち。怪しくないわけが無い。もちろんそれについては濡れ衣である。
「人攫い扱いとは人聞きが悪いね…。あたしたちはただ、地上に降りたいだけさ」
最も、これから人の船を奪い取ってでもしないと国を出られない状況下だが。
「地上に降りたいだけ?ふん、今まさに睡眠魔法を唱えた貴様らに酌量の余地があるとは思えないな」
「……」
まさかシュウとテファが今のアルビオンのトップから狙われているなど想像もしていないに違いない。事情を知らない以上、どんな理由をつくろってもいたし方の無い反応で返された。子供たちはサムが共にシュウたちの横に、エマたちがシュウたちの陰に隠れる。
「さあ、おとなしく武器を捨ててもらおうか」
銃口を向けるように、ヘンリーは杖を向けてきた。
シュウは銃と地下水、マチルダは杖をヘンリーのほうへ放り投げる。それらをヘンリーは、杖を向けたまま近づき拾い上げた。
「な、なんだ…ぐう…!?」
しかし、地下水を拾い上げた途端、ヘンリーは頭を抱えてもだえだした。そしてほとんど秒数を数えないうちに、彼はおとなしくなった。
「地下水のおかげで助かったな」
シュウが呟くと、さっきまで生真面目さに満ちたはずのヘンリーが、どこかおどけているような口調で口を開いた。
「お役にたちやしたかい?」
「ああ。地下水、その兵のふりをしといてくれ」
「はいよ」
そう、地下水は以前村が襲撃された際、サムにしたように今度はヘンリーの体を操ったのだ。それも今度は意識そのものを乗っ取っている。これなら、ヘンリーに成りすましてアルビオン兵としての特権を利用できる。
その手口が逆に自分たちの逃亡の道を切り開いたかと思うと、サムはやはり複雑な気持ちを抱かされた。
「サム、考えてる
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