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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 22.
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う対抗するか、てめぇには関係ないし話すつもりもねぇ。ただ、もし接触の効果を否定するなら、俺は肯定してやる。こうしてわざわざ否定しに来た分もな。…段々わかってきたぜ。ランカちゃんとνガンダムにいい仕事をされちゃ都合が悪いんだな? え? そうなんだろ!?」
 微かに眉根が寄り、アイムの表情がきつくなった。
 図星を刺されたが故の反応かと思いきや、「愚かな…」と呟くその表情は不自然な程、無知に対する憤りで満ち溢れている。
 相手にするものかという決意のもとで、違和感が首を擡げた。偽りの下にある真実を突かれ迂闊にも硬化した昨夜のアイムとは、些か印象が異なる。
 何故だ。
 何かを言いかけようとする直前、左手に冷たく硬質なものが触れ、慌てて飲み込む。
 馴染んだ感触から、ZEXIS全員に配布されている携帯端末の外見を思い描いた。アイムに悟られぬようロックオンが自分の端末を握り、密かに会話の送信を始めている事を伝えようとしているのだ。
 機転に感心すると同時に、間もなく応援が到着し侵入者を包囲してくれるものと確信した。
 ならば、対峙している者が担うべき役割は、1つ。時間稼ぎしかない。
「俺達の事を無知って言いたいのか。まぁ、確かに今はそうかもしれねぇ」折角なので、クロウは脳内の引き出しに手をかけた。入っているのは、謎の敵に対する疑問の数々だ。「だったらその無知な生徒にご教授願おうじゃないか。100。昨夜俺は、敵から直接話を聞いた。連中が自分達を指すのに使うあの100って数字は何だ?」
 唐突な質問から何かを感じ取った部分もあるのだろうに、アイムがゆっくりと室内を歩き始める。靴音が響く中、「いいでしょう」と応え、並列に整えられたデスクの正面に回った。昨日、打ち合わせの進行役として大山が立った場所と同じ位置にあたる。
「100は、単なる例えです。しかし、植物の株数はそれなりに揃っているので、3桁というのは、あながち嘘でもありません。連中はこの多元世界と異界を自由に行き来ができるように見えますが、実は昨夜まで大きな制限を加えられていました。その数字が、5」
「5…?」
 繰り返すクロウの後で、ロックオンが自制ぎみに冷やかす。
「何だよ、そりゃ。随分と半端な数じゃねぇか」
「ええ。半端だった力の大きさが災いし、得られる数字まで小さくなっていたようです」教師気取りのアイムが、殊更過去形である事を強調した。「あの者達は、6以上の個体を同時にこちらに寄越す事ができなかったのです。20年前から出現と強制送還を繰り返し、ある時ようやく5という制限に辿り着いたのでしょう。気にはなりませんでしたか? クロウ・ブルースト。昨夜、あなたの踏みつけた花が消えてなくなっていた事が」
「あ…、ああ」耳を傾けてはいけないとの警告と、続きが聞きたいという衝動がクロウの中で
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