6部分:第六章
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第六章
「そうする?」
「歩いてこそよ」
これが直美のここでの返答だった。
「健康にいいのよ」
「健康を考えてなんだ」
「そうよ。それじゃあ行きましょう」
弟達に顔を向けての言葉だ。それを受けてだ。
彼等はだ。畏まった態度でこう答えるのだった。
「わかりました」
「今から行きます」
行進の様に動いてだ。直美の前に出た。そうしてそのうえで先に進むのであった。
それを見てだ。また言う登志夫だった。
「あのね」
「何?」
「弟さん達だけれど」
御祭りが行われる神社の方に向かいながらだ。直美に言うのだった。
「ちょっと任せてくれる?」
「ちょっとって?」
「考えがあるんだ」
軽い笑顔で彼女に話す。
「だからね」
「考えって何よ」
「悪いようにはしないから」
こうも言うのだった。
「だからね」
「あのね。その言葉はね」
直美はいつも通り厳しい顔になってだ。登志夫に問うのだった。
「悪いようにするって時に言う言葉じゃない」
「あれっ、そうだったんだ」
「そうよ。何考えてるのよ」
「あの子達にお小遣いは?」
「あげてるわ」
それはだというのだった。
「お母さんがね。ちゃんとね」
「じゃあ何の問題もないや」
登志夫は直美の話を適度に受け流しながら述べた。
「それだったらね」
「だから何考えてるのよ」
「ここは僕に任せて」
また言う登志夫だった。
「本当に」
「だから何企んでるのよ」
「別に。企んでもいないよ」
「そう?」
眼鏡の奥の目を顰めさせてだ。登志夫の顔を見る。そうして見るとだ。やはり何かを考えているようにしか見えないのだった。
それは主観によって見えるものだ。だが彼女は確信していた。
その確信によってだ。登志夫に問うのだった。
「私の目を見てその言葉言える?」
「これでいいのかな」
登志夫はにこやかな笑顔のままで直美の顔を見てきた。その目をだ。
「はい、これでわかったよね」
「信じられないわね」
相手がそうしてきてもだ。直美はまだ信じていなかった。
「本当に。何を考えてるのよ」
「何をって」
「御祭りに行くのはわかってるけれど」
直美がわかっているのはそれだけだった。しかしそれでもだった。
一行はその御祭りの場所に入った。神社の境内、その左右に木々が連なっている石の道にだ。その道を囲む様にして出店が連なっている。
トウモロコシもあればりんご飴もある。綿飴もだ。他にはお好み焼きにたこ焼き、たい焼き、祭りの出店はあらかた揃っている。
そこに来るとだ。登志夫は直美の弟達に笑顔で話した。二人はここでも行進の様に歩いていて彼に規律正しく顔を向けてきていた。
「君達はね」
「はい」
「何でしょうか」
「一
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