暁 〜小説投稿サイト〜
息抜きも
2部分:第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二章

「しかし何かな」
「ああ、面白くなさそうな顔してるな」
「不服って感じでな」
「どうしてなんだ?」
 周囲はだ。彼女を見て話す。本人も順位を見に来ているのだ。しかしその顔は不機嫌そうでだ。見るからに面白くなさそうである。
 そしてだ。一人が彼女に問うた。
「なあ。どうしてなんだ?」
「どうしてって?」
「あまり面白くなさそうだけれどな。どうしてなんだよ」
「全部満点じゃなかったから」
 それでだといおうのである。
「だからよ」
「おい、全部満点を目指してたのかよ」
「そうよ」
 はっきりとした声での返答だった。
「その通りよ」
「無茶言うな、また」
 聞いた彼は驚いた声で述べた。
「全教科満点なんて」
「そうでないと駄目よ」
 また言う直美だった。
「完璧ではにと」
「完璧にかよ」
「何でもね」 
 こう言って引かない。
「そうしないと駄目だから」
「ううん、厳しいなあ」
 それはだ。周囲も思うのだった。
「ここでも完璧主義なんだな」
「厳しいねえ」
「まさに自他共に厳しい」
「徹底してるよ」
 ある意味で感嘆の言葉だった。しかしだ。周囲はこうも言うのだった。
「けれど人間味ないな」
「ああ、ないな」
「全然ないな」
 彼女のそうした完璧主義がそう評価されるのだった。
「機械みたいだよな」
「全くだよ」
 人ではなくだ。それだというのだ。
 そしてだ。彼女を昔から知る者がこんなことを言った。
「俺、小学校の頃からあいつと一緒だけれどな」
「ああ、昔からか」
「あんなのか」
「そうなんだよ。昔からなんだよ」
 まさにそうだというのだ。
「本当にな。杓子定規でな」
「子供の頃からか」
「ああなんだな」
「顔も髪型も全部同じでな」
 そこまで一緒だというのである。
「ガリ勉で。糞真面目でな」
「口調もあんなのか」
「ずっとあんなのか」
「弟がいるんだよ、二人」
 家族についての話も為される。
「双子の。今小学生だけれどな」
「どんなのだ?弟さん達は」
「あんな感じか?」
「やっぱり機械か?」
「いや、弟さん達は普通だよ」
 彼等はだというのだ。普通だというのだ。
「けれどな。その教育がな」
「ああ、それ予想つくぜ」
「どうせあれだよ」
「滅茶苦茶厳しいんだろ」
「帝国海軍なんだよ」
 それであった。厳格なこと鋼の如しと言われた。
「まさにな。それなんだよ」
「帝国海軍か」
「そこまでなんだな」
「そうなんだよ。もう挨拶の仕方とか歩き方まで細かいところまで厳しくてな」
 それを聞いてだ。皆溜息と共に言うのだった。
「弟さん達が気の毒だな」
「全くだよ。そんなのだって思ったけれどな」
「それでも。弟さん達
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ