1部分:第一章
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第一章
息抜きも
渡部直美はクラス委員である。女子なので男子の委員もいるがクラスの運営等は彼女が取り仕切っている。
いつも眼鏡をかけて黒髪を左右でお下げにしている。制服の着こなしも真面目で紺色のブレザーとスカートは常にアイロンまでされている。
目は程々の大きさで口は小さい。その顔立ちは整っている。目の光が強い。
その彼女がだ。クラスの男子達に言っていた。
「御掃除は真面目にしなさいね」
「やってるよ」
「ちゃんとな」
「してるつもりじゃ駄目なの」
こう厳しい顔で告げる彼女だった。
「自己満足では何もならないわ」
「厳しいなあ」
「そこまで言うのかよ」
「それでやれってか」
「そうよ。まずは御掃除からよ」
直美の言葉は厳しい。ここでもだ。
「奇麗なクラスにいないと心も乱れるわ」
「服装の乱れはってのかい?」
「クラスも」
「そうよ。だからしっかりとしなさい」
また言う直美だった。
「いいわね。チリ一つ残さないでね」
「うわ、そう来たか」
「本当に厳しいよな」
「全く」
だが、だった。彼等は徹底的に掃除をさせられたのだった。
彼女は厳しいクラス委員だった。そしてそれは掃除だけでなくだ。万事についてそうだった。しかも周りに対してだけではなかった。
部活ではだ。彼女は合唱部の部長だ。その練習もだ。
「もう一回ね」
「もう一回?」
「もう一回ですか?」
「そうよ、もう一回よ」
こうだ。部員達に告げるのだった。
「もう一回」
「ええと、休憩は?」
「休憩しないんですか?」
「もう皆疲れてますけれど」
「駄目よ。休憩なんて」
ここでも厳しい口調である。
「もっとね。完璧にできるまでよ」
「そんな、もうかなりできてるのに」
「そうですよ。凄くできてますよ」
「それでもですか?」
「まだ練習するんですか」
「完璧によ」
それでだというのである。
「完璧にできないと駄目よ。これ位じゃね」
「駄目なんですか」
「まだですか」
「それでなんですね」
「そうよ。完全にできてからよ」
ぴしゃりとした言葉だった。
「わかったわね。それじゃあね」
「わかりました。それじゃあ」
「やります」
「もう一回」
部活でもこうだった。そして彼女自身も共に歌う。自分も同じことをするからだ。周囲もそのことは認めていた。それは学業にも出ていた。
「またか」
「一番だったってな」
「それも殆ど満点だろ?」
「やっぱり凄い奴だよな」
周囲は彼女の期末テストでの成績を見て言う。順位が壁に張り出されているのだ。
「毎日真面目に勉強してるからな」
「居眠りなんて全然しないしな」
「ああ、それもないな」
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