最終話:八神切嗣
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その魂を救われたのだ。
しばらくすると、はやてが鼻声で答える。
「うん……グス、約束する…ッ! 絶対に幸せになるからなッ!」
「……ああ、安心した」
その言葉を聞き、本当に心の底からの安堵の言葉を零し、切嗣ははやてから離れる。
騎士達はそんな様子を静かな眼差しで見つめる。
切嗣は最後に愛しい家族達を一瞥した後に飛びきりの笑顔で微笑む。
「正義の味方は廃業だ。これからはただの衛宮、いや―――八神切嗣として人を救っていくよ」
その言葉を最後に八神切嗣は二度とこの家に帰ってくることはなかった。
――十数年後――
「なあ、ヤガミって人知ってるか?」
「あの八神司令のこと?」
「いや、そうじゃなくて男の方だよ」
「知らないわね。どんな人なの?」
一人の少年と一人の少女がミッドチルダの街を歩きながら話していた。
少年の目は光り輝き、件の人物に憧れているのだと一目に分かる状態だ。
少女もそれが分かっているためか流さずに真剣に聞き入る。
「色んな次元世界を回って人助けをしてるんだってさ」
「へえー、立派な人なのね」
「俺さ、昔火事にあったときにその人に助けられたんだ」
「火事になんてあってたんだ、あんた」
意外なことを聞いたとばかりに少女が目を見開く。
少年の方は言ってなかったかと首を傾げる。
どちらにしても深刻ではないのかと判断して少女はそのまま話を続ける。
「それで、その人は結局なんなの?」
「その人はさ、俺の憧れでとにかく目の前の誰かを助ける人なんだ。一言でいうなら―――」
少年は屈託なく笑い、眩しい笑みを少女に向ける。
その姿はかつてどこかの誰かが見せたような子供らしい笑顔と似ていた。
切嗣が蒔いた希望の種はしっかりと少年の胸の内に花を咲かせていた。
「―――正義の味方だな」
〜八神家の養父切嗣END〜
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