二十八話:旅の終わり、新たな旅へ
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して―――笑っていけます」
花の咲くような満面の笑みを浮かべて見せるリインフォース。
その顔にはやては何も言うことができなくなる。
本当に彼女は救われて、満ち足りているのだと分かってしまったのだから。
もしも、彼女が一人の人間であればこんなにも笑えなかったかもしれない。
だが、彼女は気が遠くなる時間を旅してきた魔導書。
騎士達のように自身が人間だと無意識に思うのではなく、無意識に魔導の器と意識する。
だからこそ、主一人に全ての愛を注げる。
何よりも八神はやての魔導書であることを誇りに思う故に。
「お別れの時間です」
最後にもう一度、優しく微笑みかけ、リインフォースは魔法陣の中心に移動する。
目を瞑り、降り注ぐ雪が頬に当たるのを感じながら空を見上げる。
自分は今からこの空に祝福の風となり還っていく。何一つ心残りはない。
「主はやて、守護騎士達。それから、小さな勇者達……ありがとう。そして、さようなら」
最後の最後に感謝の言葉と別れの言葉を残しリインフォースは夜天の書と共に消えていく。
白銀の粒となり、空へと昇っていき新たな旅へと向かったのだ。
残った物ははやての手の平に降り注いだリインフォースの欠片のみ。
はやてはその欠片を何よりも大切な物として固く抱きしめる。
「はやてちゃん……」
「はやて!」
その周りに大切な友人と家族が駆け寄ってくる。
だが、そこにはいつも傍にいてくれた夜天の書も父の姿もなかったのだった。
一先ず、はやての気が休まる場所に移動しようと決めた騎士達はなのは達と別れて自分達の家に来ていた。
色々なことがあったために随分と久しぶりに感じられる家に一息をつく五人。
今日は家ではやての心をゆっくりと休めようと考えたところでヴィータがあることに気づく。
「なあ……はやては病院に戻んなくていいのか?」
「主の病はもう治った。これ以上苦しむこともない」
「いや、そうじゃなくてさ。……無断外泊ってやつじゃねーのか?」
ヴィータの言葉に全員が顔を見合わせる。
当然のことながら昨日ことなど石田は知らない。
恐らくは今も居なくなったはやてを探し回っていることだろう。
そこまで気づくとサッとシャマルとシグナムの顔が青くなる。
「シャマル、すぐに石田先生へ連絡を」
「分かったわ!」
「うわー……石田先生カンカンやろうな」
これから怒られることを想像して苦笑するはやて。
家に戻ってくるまでの間に大分落ち着いたのもある。
しかし、それ以上にしっかりしなければならないという感情が働いたためにこうして気丈にふるまえているのだ。
そんな心情をザフィーラは察していたが主の
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