二十八話:旅の終わり、新たな旅へ
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ナムが重々しく頷き、承諾の意を見せる。
それを確認したクロノは切嗣の元へ家族を案内していく。
残されたなのは達は自身の力の無さを噛みしめながら肩を震わせる。
「あの時……力づくでも連れられて行くのを止めればよかったのかな…?」
「どうして殺されちゃったんだろ……」
「なのは……」
「フェイト……」
下を向いて俯くなのはとフェイトにユーノとアルフは声がかけられない。
アルフとしては娘に酷いことをしたというのは許せない。
しかし、あの心の底からの絶叫を聞いてなお、何も思わないほど非情ではない。
本当は優しい人間だったのかも知れないと思っていた。
「ねえ、ユーノ君。どうしてこんなことになっちゃったのかな?」
「……口封じの為に殺されたんだと思うよ」
「口封じ?」
なのはの声に頷いてユーノはゆっくりと話し始める。
ユーノはまだ汚いことはよく知らない子供である。
しかし、普通の子供の何倍も聡い。故に人間社会の闇についても少しはわかる。
「うん。あのスカリエッティっていう人は広域次元犯罪者といって犯罪者の中でもトップで追われている人なんだ」
「そう言えば、クロノが言っていた……」
「うん、共犯者だって言っていたから……切嗣さんが捕まって自分の情報が管理局に渡るのを恐れて……それで……」
最後の言葉が上手く喉から出てこずに尻すぼみになっていくユーノ。
しかし、その先の言葉は言わなくともわかる。
衛宮切嗣は殺されたのだ。これ以上ないほどに無残に、残酷に。
その事実がなのはの心に重くのしかかるのだった。
「私が…私がはやてちゃんを助けたからこんなことになっちゃったのかな?」
「なのは、それは言っちゃダメだよ」
自身がはやてを助け出したことで間接的に切嗣を殺してしまったのではないのかと悔やむなのはにアルフが厳しい口調で声をかける。
「あんたが否定したら、はやてが報われない。それにあいつも報われないだろうさ。フェイトもそうだよ」
「うん……そうだね、アルフ。私達が選んだ道で誰かが傷つく。そのことを私達が否定したら傷ついた人への裏切りになる。でも……難しいね」
一言一言噛みしめるように呟くフェイト。
そして同時に今までの行いを否定してしまい、悲鳴を上げた切嗣の心境を少しだけ理解した。
一人の犠牲だけでこれだけ心が痛むのだ。
恐らくはその何百倍も犠牲を積み上げていた彼の絶望はこんなものではなかっただろう。
だからこそ、たった一言で壊れてしまった。
「頑張って前に進んでいくしかないんだね……」
「そうだね。だから、リインフォースの消滅もちゃんと見届けないと」
「うん……」
少女達は小さな、それでいて大きな覚悟を決め頷く。
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