九十六 消し去れない過去
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の存在を認めさせる為に生きている」と我愛羅は答える事が出来る。
過去の自分がちっぽけな存在だと気づかせてくれた、うずまきナルト。
そして、本当の強さというものを教えてくれた狐の子――否、波風ナル。
二人の存在へ多大な感謝を抱きながら、我愛羅は閉ざしていた眼を開ける。
過去、自分にとって濁ったモノにしか見えなかった世界が、現在はとても眩しく見えた。
「―――木ノ葉には大きな借りがある」
戸惑う波風ナルを背に、我愛羅はきっぱりと答えた。
その瞳は、何もかもを憎んでいた昔とは違い、真摯な輝きを放っていた。
深き森の中、何処からか鳴り響く笛の音。
激しく打ち鳴らされるその曲に合わせて、何本もの大木が大きく撓る。
あちこちでたわんで跳ねた枝が直後砕ける様を、キバは眼の端で捉えた。
着地した枝で体勢を整えようとするものの、やはりそれより先に襲い掛かってくる。再び粉砕された枝から飛び散ってくる木片を避けながら、キバはチッと舌打ちした。
多由也が口寄せした『怒鬼』三体。
妙な姿形のソレらは多由也が笛を吹くと共に、キバを的確に攻撃してくる。笛の音で操っているのは明白で、確実に遠距離戦タイプだ。
(――となりゃ、やっぱあの笛をどうにかすりゃいいわけだ)
こういった遠距離戦を得意とする輩は総じて接近戦に弱い。要は術者に攻撃を仕掛ければ良い。
しかしながら、容易に答えを導き出したところで、多由也本人に近づこうとしても怒鬼三体に阻まれる。接近するのは難しいだろう。おまけに三体の敵は何処から来るかわからない。
「―――けどまぁ、俺の鼻の前じゃ、意味ねぇけどな」
怒鬼一体の攻撃を軽々かわし、キバは多由也目掛けて突進する。少しも怯まずにこちらへ向かってくる相手に、多由也は眉を顰めた。笛に添えた指先の動きを速める。微かに曲調が変わった。
多由也を守るように一体の怒鬼がキバの眼前に現れる。だがそれを気にせず、キバは身を捻った。
「【通牙】!!」
高速で回転し、勢いよく激突。その衝撃に、目の前の怒鬼一体が掻き消える。それを目の当たりにした多由也が視線を左右に這わした。
「一匹倒したからっていい気になるんじゃねぇ…ッ!」
残り二体の怒鬼がキバを挟み打ちにする。左右から迫り来る敵に、キバはくっと口角を吊り上げた。跳躍する。
「お前こそ、甘いんだよっ!!」
互いに衝突する二体の鬼。その隙を狙い、上方へ跳んだキバが攻撃する。
最初の一匹と同じく、残りの鬼二体も掻き消える様を多由也は苦々しげに見遣った。相性の悪さを察し、唇を噛み締める。
多由也の基本戦術は、笛の音で相手を幻術に落とし込み、その隙に物理攻撃を加え
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