第1章:平穏にさよなら
第19話「模擬戦」
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のが、ただの幻影だったのだから、当然だろう。
...なら、僕はどこにいるのかって?
「織崎が後半で魔法を多く使ってくれたおかげで助かったよ...。」
「上...!?」
そう。僕はこの訓練場の天井近くに浮かんでいる。
―――左手にリヒト。右手にとある本を持って。
「僕が“チェック”と言ったため、さっきのがトドメの一撃だと勘違い...。...うん。僕の想定通りに勘違いしてくれたね。...まぁ、そうじゃなくてもそこまで変わらなかっただろうけど。」
チェスで言う“チェック”と“チェックメイト”は似ているようで違う。“チェック”は将棋でいう“王手”だ。まだ“詰み”にはなっていない。
さっきの“チェック”も同じだ。“チェックメイト”ではない。
それを織崎は“チェックメイト”と同じだと思い込み、攻撃を凌いで反撃に出て意表を突いた気分になっていたのだろう。
「くそ!...なっ!?」
「あ、言い忘れてたけど、そこには多数のバインドが...って、もうかかってるか。」
ストラグルバインド、レストリクトロック、クリスタルケージ。複数の拘束魔法で織崎を止める。結構な魔力を使ったため、大気中の魔力も枯渇して、既に一つの魔法と飛行魔法の分の魔力しかなくなっているが...これでいい。
「はずせない...!?」
「凄く複雑な術式で設置したからね。簡単に解かれちゃ困るよ。」
織崎に聞こえるようにそう言いながら、本のページを捲る。
〈マスター。“グリモワール”に記されている魔法は確かに強力です。ですが、制御が困難な事を、忘れないでください。〉
「分かってる。飛行魔法はリヒトが制御してて、僕は“この魔法”の制御に集中するから。」
〈分かりました。〉
この本...グリモワールは、リヒトに収納されていたベルカ戦乱期にあった魔法のほぼ全ての術式が記載されている本らしい。空想の魔導書みたいなものかな?デバイスじゃなくて。
「じゃ、行くよ。」
手を掲げ、そこへ紅色の槍の形になるように魔力が集束する。
...そう。今から放つ魔法は、絶対必中の逸話を持つグングニル...それを模倣した魔法。
どこかの世界ではとある吸血鬼が使用する技の一つでもある。
「“スピア・ザ・グングニル”...!!」
大きな槍となったそれを、織崎に向けて放つ。
飛行魔法の分以外の全ての魔力を凝縮・集束させた魔法だ。織崎の防御など、容易く貫く!
「...その本は、一体...?」
「リヒトの中に入ってただけの魔法が載ってる術式ですよ。それ以外はただの本と同じです。辛うじてマジックアイテムに分類されるんじゃ
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