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足りぬ足りぬは
5部分:第五章
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第五章

 部長はだ。よりによってその観客達に言い返すのだった。
「俺が何をした!」
 よりによってだ。こう言うのだった。
「一体何をした!言ってみろ!」
「こき使いやがって!」
「他の部の奴等に迷惑かけるな!」
「只でさえ忙しい時に変な話持って来るな!」
「金もかかったんだぞ!」
 だが観客達も言い返す。
「いい加減にしろよ!」
「今度はもうこんなことするな!」
「わかったな!」
 こうだ。何処からか空き缶やらゴミやら出してだ。彼に投げ付けさえする。それを浴びせて言うのであった。
 しかし部長も負けていずだ。さらに言い返そうとする。しかしだった。
 その彼はだ。後ろから副部長に掴まれだ。強制的に幕の奥に引っ込められた。だが彼は引っ込められながら副部長に抗議するのだった。
「離せ!話せばわかる!」
「その台詞はあんたが言わない」
 副部長の言葉はここでも冷たい。
「全く。こうなるって思ってたけれど」
「思っていた?」
「あのね、あれだけ強引に協力させたら皆怒るわよ」
「全ては舞台の為だ」
 まっすぐにだ。言って引かない彼だった。
「演劇部のな」
「確かに舞台は成功したわよ」
 そのだ助六自体はだというのだ。
「工夫もしたし猛練習もしたしね」
「そうだな」
「しかも他の部活の協力までこぎつけてね」
「それの何が悪いんだ」
「あんたはもうちょっと協調性を身に着けなさい」
 副部長の言いたいことはこれだった。
「いいわね。そこんところよく考えなさいよ」
「いい作品ができるならいいじゃないか」
「よくないわ。絶対にね」
「絶対にか」
「予算といい。今回の滅茶苦茶さといい」
 全ては部長のせいだ。誰がどう見てもそうだと断言することだった。
 副部長もそのことを話す。そしてだった。
 部長にだ。こう言うのだった。
「あんたもう予算とね。プロデュースはしたら駄目だから」
「じゃあ何をしろというんだ」
「脚本とかに徹しなさい。いいわね」
「くっ、才能ある者は叩かれるのか」
「才能がある人間が叩かれるんじゃなくて」
 どうかとだ。やはり正論で返す副部長だった。正論を言うのは周りだ。滅茶苦茶なのは部長だ。だが彼はまだ理解しない。それも全くだ。
 それでもだ。副部長はその彼に言った。
「その協調性がないことが問題なのよ」
「そうだというのか」
「全く。幾ら熱意や才能があっても」
 少なくとも部長はそうしたことには恵まれている。
「清廉潔白でも」
「俺は金を懐に入れたり自分は何もしないとかは大嫌いだ」
「それはいいのよ。けれど協調性も大事だからね」
 副部長は強い声で話す。そしてそのうえでだった。
 部長に何度も言って聞かせてだ。次の舞台のことも考えるのだった。そして
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