暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王ARCーX 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
二十三話 ー揺れる眼差しVー
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では、お体に気をつけて。また会えるといいですね」

「あぁ。ところで名前ーーーっ!」


 最後まで言い切る前にいきなり強い風が吹き、腕で顔を覆う。風が止み、視界を戻すとすでに少女の姿はなくなっていた。

「なんだったんだ……あの子」

 いろいろとおかしな子だったなぁ……と呟くと痛む腰を摩りながら帰路を急いだ。



 ーーーーー

 ところ変わり、レオ・コーポレーションの社長室。そこに優希はいた。

「ふむ、君のおかげで我々の開発したペンデュラムカードは榊 遊矢の持つオリジナルに匹敵しうる事が立証された。予想を上回る成果に開発者達も喜んでいることだろう」

「あっそう」

 高級そうな椅子にもたれながら書類をめくるレオ・コーポレーションの社長、赤馬 零児に対し、優希は素っ気ない返事で返答する。


 ーーー友達を守るために、力が欲しい。


 そう思っていた矢先、優希に取引を持ちかけてきたのが今目の前にいる赤馬 零児だった。ここ最近、LDSの生徒や関係者を襲っていた黒咲 隼を撃退したことが社長の目にとまったらしい。

 そして、赤馬零児が私に『ペンデュラムカード』を渡す代わりに提示した条件は三つ。

 まず一つ目は遊勝塾の脱退。

 二つ目は、『ランサーズ』への参加。聞かされた当初は、槍で自害するグループなのでは?と疑ったがそうではないらしい。零児曰く、この世界は4つの次元に分かれており、次元統一を目指そうとする融合次元から私達がいるスタンダード次元を守るための対抗勢力ということらしい。

 そして、三つ目はレオ・コーポレーションが作成したペンデュラムカードでオリジナルを持つ榊 遊矢とデュエルすること。必ず勝たなければならないと思っていたがデータの回収だけで勝敗は関係なかったらしい。社長の先の発言はそのためだろう。


 三つの条件を了承し、約束通りペンデュラムカードを手に入れたわけだが、本当にこの選択が正しかったのか今でも迷う。
 出来る事なら受けとったモノを突き返し、遊勝塾に戻りたい。けど、私が弱いために友達が傷つくのはもうごめんなのだ。


「さて、これで正式にランサーズの一員となった君にこれを私しておこう」

「おわっとと……バッジ?」

「あぁ。見ての通り、ランサーズとしての証だ。そして、入団早々悪いが初ミッションだ」

 赤馬 零児が投げて寄越したのは、槍を携えた騎兵の装飾の施された金色のバッジ。そして、それを受け取るなり、鋭い視線が私へと向けられる。


「君にはマイアミチャンピオンシップに出場してもらう」

「は?」


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