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遊戯王ARCーX 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
二十三話 ー揺れる眼差しVー
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ラムカードを持っているか知ってますか?どんな思いであのカードを受け取ったか知ってますか?」

「っ……ぅ…」

「どんな気持ちであなたに対してペンデュラムカードを使ったかわかりますか!」

「っ!?」



 語調を強めながら放たれた言葉に思わずハっとさせられる。
 そして、思い出されるのはデュエル中の優希の辛そうな、申し訳なさそうな表情。

 遊矢を持ち上げていた少女はそれだけ言うとポイっとゴミを捨てるのように遊矢を路上に放り投げた。遊矢は受身も対してとれずアスファルトの固い道路に体を強かにぶつけ、呻く。だが、痛む体に鞭打つと塀に手をもたれかかりながらも立ち上がって見せた。

「へぇ、驚きました。30分くらいは動けないように痛めつけたつもだったんですがね……お代わりですか?」

「さすがに……死ぬわ」

 息も絶え絶えの状態だが遊矢は少女の(多分)冗談に返答すると、顔を上げ少女へと向き合う。その瞳には何かを決意した者がする眼をしていた。

「仲間が苦しんでいるなら、俺は、何かしてやりたい。何もしないなんて俺には出来ない!」

「……ハァーー。こりゃ、とことんバカデスね〜」


 少女は額に手を当てるとやれやれとため息混じりに頭を振る。呆れながら小馬鹿にしてくる少女だがその表情は嬉しそうに思えた。


「けど、そんな馬鹿も嫌いじゃないですよ」

「そ、それじゃ……!」

「だ、け、ど!残念ながらトマトにする事をありません。だから優希さんを信じて待っていてください。優希さんが立ち直って戻って来た時、一緒に過去を笑い飛ばせてあげれるように」


 後は私の役割ですからから……と呟くと今までの少女の言動からは想像がつかないほどの慈愛のこもった温かい笑みを浮かべた。


(この子もこんな表情するんだな。てか、そろそろ足が限界……!)


 アクションデュエルからのこの苦行に悲鳴を上げる体に顔を顰めているとハァと盛大に吐いたため息が聞こえてきた。顔を上げれば、がっくりと肩を落とした少女が目に映った。

「しっかし、優希さんなんであんな悪魔に魂を売ったんですかねぇ……どうせなら私に(なび)いてくれればよかったのにぃ……」

「あ、悪魔……?」

「メガネにハリガネマフラーノーソックスでラスボスオーラが滲み出てる悪魔です。ついでにどこかのCEO(社長)ですね。」

「へ、へー……」

 物騒なワードにさすがにスルーせずにはいられず聞き返すと色んな意味で凄そうな悪魔が語られた。
 

「さて、思ったより話しこんでしまいましたね」

「あ、あぁそうだな」

 優希を追いかけ外に飛び出した時には明るかったが、陽は沈みかけ黄昏時へとなっていた。


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