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遊戯王ARCーX 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
二十三話 ー揺れる眼差しVー
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の塀へと打ち付けた。その表情は険しく、さっそく痛みすら正常に感知出来ない。

「……優希、どうして。」


 遊矢は後悔した。
 優希が自分(遊矢)だけのものだと思っていたペンデュラムカードを所有し、使った事に対し、優希が 遊勝塾 (俺たち)を裏切ったと考えてしまった事にだ。

 赤馬 零児や沢渡 シンゴからペンデュラムに関する事を伝えられ、心のどこかでいつかは皆が使える日が来るだろうと考えてはいた。だけどそれはもっと後の事だろうと楽観的に考えていたのは事実だ。
 だけどどうだろうか。実際に目の前でペンデュラム召喚を見せられ、言葉を失った。


 だけど冷静に考えてみれば友達に優しい優希がそんな事をするとは到底思えない。だからこそ謝りたい。少しでも疑った事を。謝って、それで遊勝塾に戻ってみんなでたわいもない事で笑いあいたい。故に追いかけた。けど、遊矢の想いは成就せず、優希を引き止めることすら叶わなかった。


「……どうすりゃいいんだよ」


 優希がどこに行ったのか検討もつかない。
 壁に背を預け途方に暮れていると、不意にソプラノの声が響く。

「まったく、俺なら何かしてやられる……な〜んて思い違いも甚だしいデス!」

「ンなっ??だ、誰だ!」

 声のした方向から現れたのは、制服のような紺色のブレザーに、艶のある紅髪をドクロの髪留めで留め、ツインテールに結んだ少女。
 小馬鹿にしたような表情を向けてくる失礼な少女に遊矢も反論せざるを得なかった。

「な、なんだよ!こっちは、悩んでんだよ!事情も知らないくせに!」

「…………事情を知ってるから言ってんじゃないデスか」

 死にたいデスか?などと冗談めかしていう少女の言葉に遊矢は驚愕に表情を固めた。

「事情を知ってるからこそ、教えてあげたんですよ。あなたには何も出来ない。無駄だと」

「っ!やってみなきゃ無駄かどうかわからないだろ!!」

 呆れたと言わんばかりにため息を吐く少女に、カチンときた遊矢は反射的に声を荒げてしまう。普段ならこれくらいで取り乱す事はないはずなのだが、おそらく優希の件で酷く焦っていたらしい。

 だが、遊矢の怒りも赤毛の少女は鼻で笑い飛ばすと小馬鹿にした表情から一転、虫けらを見下ろすような表情を浮かべた。

「ハ?やってみなきゃわからない?やった結果がこれでしょう?」

「なに!?」

「自分の過ちに気付いた頃には後の祭り。それでも追いかけて、見失って、迷って、疲弊して、絶望した。簡潔に述べるとこんな感じですよ、あなたのやった事は。で、最後にあなたは可憐で無垢で愛らしく幼気な少女の心に傷を負わせてしまった事に後悔したのでした、マル」

「く……」

 少女の言う事はどれも正し
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