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遊戯王ARCーX 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
二十三話 ー揺れる眼差しVー
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 真澄達を襲った襲撃犯とのデュエルから数日が経った今でも私はあの夜の事を思い出す。

 私が駆けつけた頃には既に真澄達はあの男の手に敗れ、全身を切り傷だらけにして気を失っていた。私が駆け寄ると一瞬だが、意識を取り戻し一言、二言喋ると意識を手放した真澄の姿を。

『……ゴメン。負け、ちゃった』

 あの時、真澄が気を失う前に私に言った言葉だ。
 何時もの調子とは打って変わった、弱々しい表情でそう呟いた言葉と表情は今でも覚えている。
 なんなら、あの時『遅いわよ、馬鹿』みたいにいつもの調子で罵倒してくれればこんなにも悩ますに済んだかもしれないのに。


 ーー私が真澄の変調に気づいていれば…。
 ーー私が一緒に戦っていれば…。
 ーー私が駆けつけるのがもっと早ければ…。


 もし、私が起こす行動が違えば、真澄達の身に起こる結末を変えられたのでは。最悪でもあんなに彼女達が傷つく事はなかったのではないか。

 けど、デスガイドには、これは予定調和(運命)なのだから仕方がない。寧ろ私があそこで黒咲を倒した事の方がイレギュラーなのだ、とデスガイドに諭された。



 だけど、真澄達を傷ついたという事実よりも私を苦しめたのは純粋な恐怖だった。デュエル中は、友達を傷つけられた事から来る怒りで恐怖なぞ忘れてはいたが、今あのデュエルを、実際に鈍器で殴られたような衝撃や火で炙られたような熱を思い出すだけで体が震える。勿論、武者震いなんてカッコいいものではなく、恐怖から来る震えだ。

 遊戯王Ark-X(この世界)に来てからは、物理的なダメージが発生するものや命を賭けた闘いに巻き込まれるだろうとは心のどこかで考えてはいた。
 だが、実際に無我夢中にデュエルをしていた時は兎も角、冷静になって考えてもう一度闇のゲーム紛いのデュエルを出来るかと言われたら答えはNOだ。

 これ以上痛い思いをしたくないし、死にたくもない。ましてやカード化なんてまっぴらゴメンだ。

 そう考えると歴代のデュエリスト達がどれほどまでにメンタルが強かったのかが思い知らされる。

 例えば元祖HERO使いは、黒炎弾をマトモに喰らい全身を炙られる様な苦痛を与えられても決して折れず、最後には勝利した。

 だが、私はどうだろうか。確かに『レイド・ラプターズ(RR)』使いには勝った。けど、最後に冥府の舟守 ゴースト・カロン(逆転の一枚)を引いていなければ負けていたし、何よりもデスガイドが攻撃から庇ってくれていなければ私はその時点で続行不可能になり負けていたと思う。

「……私は、まだ、弱い……」

 いくらOCGの知識とカードプールがあり、そこら辺のデュエリストくらい完封できる実力はあると思うし、ここ一番のドローも自信がある。それでも、
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