第九十一話
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うです!」
ショウキさんもリズさんも案外照れ屋なんですから――と、シリカは強く頷きながらそう言った。ぐうの音も出さなくさせるその口調に――実際ぐうの音も出ない――俺は少し、シリカの言っていた言葉のことを考える。
「むぅ……」
「二人とも、着いたみたいだ」
年下の友人にここまで言われるとは、まさしくナイスな展開じゃない。そんな思考をルクスの言葉が遮ると、気づけば俺たちは巨大な表示板の前にいた。今からここに、中間発表の結果が表示されるとのことで。
「どうかな、結果」
「ふふん。ま、このリズさんの見立てではなかなか上位……に……?」
そうして掲示板に現在の順位が表示される。リズの自慢げな話がむしろフラグだったかのように、四人の順位は人それぞれに差違は少しずつあるものの、中の下というべき順位だった。強いて言えばリーファが上位に近い程度で、少なくとも優勝候補では断じてありえない。
「マジで……?」
頬を伝わる冷や汗を伴ったリズのその言葉は、この結果が本気で計算外だったということを感じさせた。飛び入り参加の自分たちがまともに勝てる訳もなく、もちろん苦戦するだろうとは思っていたが……ここまでだとは。多かれ少なかれ受けたショックは隠しきれず、再び作戦会議のために先の机にメンバーは戻ってきていた。
「ライバルもやるわね……」
「うーん……」
リズが胸の前で腕を組みながら唸っていると、やはりリーファは辺りの視線が気になるのか、チラチラと背後にある林を確認していた。
「上位の人の偵察とか必要ですかね……ってリーファちゃん、さっきからどうしたんですか?」
「……ね、ショウキくん。何か投げやすい武器ない?」
リーファが顔を近づけて小声で話しかけてきたのは、何故か投げやすい武器はないか、という謎の問いかけ。今は自分も適当な水着のため、もちろん装備していないものの、投擲用のクナイなら星の数ほど保管してあるといっても過言では――いや、それは流石に過言か。とにかく、その程度ならいくらでもある。
「あるけど、どうした」
「貸して! バレないように!」
一体誰にバレないように、なのかは知らないが、鬼気迫るようなリーファの表情についつい頷いてしまう。急いでアイテムストレージを操作すると、海岸に置かれた机の上に似合うはずもない黒いクナイが、ゴトリという重い金属音をたてて置かれた。
「こんの――」
そして置かれるや否や、リーファは即座にクナイの柄を鷲掴みにしたかと思えば、即座に反転し林のを臨む。そのままクナイを思いっきり振りかぶると、リーファの叫びが海岸に木霊した。
「――ストーカーッ!」
正しい投げ方もフォームもあったものではないが、リーファが大きく
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