暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 4
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 ……レゾネクトに弾き飛ばされた。
 「此処は……神殿?」
 青い空。揺れる草木の緑。緩やかな風。地面を覆い、散乱する石床や石柱の残骸。
 殆ど覚えてなかったけど、間違い無く、私が私を自覚した場所だ。
 「本当にまた来ましたね。あ、リース。お久しぶりです」
 クロスツェルが周囲を見渡して……何か居る?
 ちっさいのが飛び回ってるみたいだけど、よく見えん。
 虫か?
 「私とロザリアさんとティー、マリアさんとクロスツェルさんとリースさん……ですね。マリアさん本体は玉座の間に残されたのでしょうか」
 女神が一同を確認する。
 私もぐるりと視線を泳がせて
 「……みたいだな。あの野郎、どういうつもりだ?」
 他の連中はともかく、私まで追い出した。
 数千年待って手に入れかけた材料を、今になって手放すとか。
 母さんの何を映して、こんな行動に出やがった!?
 「本当に勝手過ぎる奴だな! ムカつく!」
 遠見は……あ、まだ繋がる。
 母さんはレゾネクトに抱き付いたままだ。
 何か話してる?



 「……これが、お前の答えなのか」
 レゾネクトの表情からは、すっかり覇気が無くなってしまった。
 こうさせたのは私。いいえ……私達。
 貴方は最初から、私達を敵だと思っていなかったのに。ただ私達に問い掛けていただけなのに。そう感じ取っていた筈なのに。
 それでも私達は、世界を破壊する魔王として、貴方を警戒していた。

 ……何処の誰が、剣を構えながら迫って来る相手を、好意的に受け入れられるというのかしらね?

 貴方が私達に牙を剥くのは当然だった。
 あの時も、そうさせたのは私達だ。
 私達のほうが間違えていた。

 「そうよ、レゾネクト。これが私の答え。貴方が何故、何の為に今日まで生きて来たのか。何故私達と戦ったのか。それはね……「勇者一行を殺す為」よ」
 勇者一行は、あの時に死んだ。
 アルフリードもウェルスもコーネリアも。
 そして私も、レゾネクトとアリアの契約を知って狂った瞬間に死んだ。
 此処に居るのは亡霊。
 過去に生きていた……それだけの屍。
 「死を迎えた者に、未来は無いの。子供達の幸福を願って、祈って、消えるのよ。私達はあの世界に居てはいけない。だから、貴方の手で全部壊して。終わらせて。過去は過去に。未来は子供達へ託して。私の望みを叶えて……レゾネクト」

 レゾネクトは幼い子供だった。

 言葉よりも何よりも、態度で示すべきだったのに。
 アルフリードだけが「レゾネクト」を見ていたのね。
 だけど、「魔王」を見ていた私達の所為で、最後に間違えた。
 「マリア……!」
 レゾネクトが私を抱き締める。
 私に笑って欲しいと……壊したくないと願ってくれたのは
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ