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逆さの砂時計
孤独を歌う者 4
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る。

「アルフリードは、貴方が欲しかった答えを確かに知っていたのに、私達のせいで伝え方を間違えてしまった。私達はただ、こうしていれば良かった。最初から、こうするだけで良かったのね」
「離せ!」
「私は貴方を赦さない。絶対に何があっても憎み続けるし、アルフリードを殺した貴方を殺してしまいたいと思ってる。だから、壊して。それが貴方に求める、私達からのお願い……『罰』。壊して、レゾネクト」
「…………っ!!」

 幼女が私から離れた隙に、二人を振り返れば。
 実際に見るレゾネクトの涙が増えてる。
 苦しそうに、辛そうに、歯を食い縛ってる。

「レゾネクト」

 薄い水色と澄んだ紫色の眼差しがぶつかり合う。
 訪れる、長い長い沈黙。
 先に折れたのは。

「…………け」
「?」

 レゾネクトが顔を逸らして、床を睨みつける。
 何を言ったのか、聞き耳を立てようとした瞬間

「貴様ら全員、ここから出ていけ────っ!!」

 レゾネクトの怒号を合図に、景色が変わる。空気が動き出す。
 ……レゾネクトに、弾き飛ばされた。

「ここは、神殿?」

 青い空。
 揺れる草木の緑。
 穏やかな風。
 地面を覆い、散乱する、石床や石柱の残骸。
 ほとんど覚えてなかったけど、間違いなく、私が私を自覚した場所だ。

「本当に、また来ましたね。あ、リース。お久しぶりです」

 クロスツェルが周囲を見渡して……何か居るのか?
 ちっさいのが飛び回ってるみたいだけど、よく見えん。
 虫か?

「ここに居るのはロザリアさんとティー、マリアさんとクロスツェルさんとリースさんと私……、ですね。アルフリードさん達とマリアさんの本体は、玉座の間に残されたのでしょうか」

 女神が一同を確認する。
 私もぐるりと視線を泳がせて、頭を掻いた。

「みたいだな。あのバカ親父、どういうつもりだ?」

 他の連中はともかく、私まで追い出した。
 数千年も待って手に入れかけた材料を、今になって手放すとか。
 母さんの何を映して、こんな行動に出やがった?

「本当に勝手すぎる奴だな! ムカつく!!」

 遠見は……
 あ、まだ繋がる。
 母さんはレゾネクトに抱きついたままだ。
 何か話してる?



「これが……、お前の答えなのか……」

 レゾネクトの表情からは、すっかり覇気が無くなってしまった。
 こうさせたのは、私。
 いいえ、私達。

 貴方は最初から、私達を敵だとは思っていなかった。
 貴方はただ、私達に問いかけていただけ。
 自分は何者で、何故ここに居て、これから何をどうしたらいいのかと。
 そう、尋ねていただけなのに。
 確かにそう感じ取っていた筈なのに
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