暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 4
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ちも母さんだからなぁ。
 絵的にどうなの? とは思うけど、これはこれで良いか。
 「……アルフリード?」
 母さんが私の背後でレゾネクトと話すクロスツェルに首を傾げる。私には見えないが、クロスツェルはどうやら「いいえ」と仕草で答えたらしい。
 「……そう」
 そうよねと呟いて、俯いてから……
 「レゾネクト」
 上げた真っ直ぐな目線が、クロスツェルに頭を抱えられてるレゾネクトを映す。
 レゾネクトも、クロスツェルから離れた気配。
 ……至近距離で使う場合も遠見って言うのかな?
 解らんけど、上から覗く感じで状況を探ってみる。
 「お願いがあるの」
 「……願い?」
 驚いてるっぽい表情のレゾネクトに、母さんはそっと頷いた。
 そして。

 「壊して」

 空気が音を立てて固まる。幼女までがピタリと泣き止んだ。
 壊してって……え? 何それさすがに予想外なんですけど!?
 此処に来て、それ!?
 「……嫌だ」
 レゾネクトが首を振る。信じられない言葉を聴いたとでも言いたげに、ぶんぶんと横に振る。
 母さんは、レゾネクトをじっと見てる。
 「嫌だ!!」
 「っ!」
 レゾネクトの全身から薄緑色の光が滲み出す。同時に私を襲う脱力感。
 コイツ……力を持っていくなっつーのに!
 「にゃあう!」
 「! ティー!」
 幼女が焦って振り向いた先で、金色の飛行物体が ひゅん! と旋回。口をパクパク動かして、レゾネクトが発する力を食べてる。
 「レゾネクト」
 ふ……と、母さんの体が私の腕から消える。
 直後、バカ親父が息を詰まらせた。
 「……ごめんなさい。私達は間違えていたのね」
 レゾネクトを抱き締める母さんに……レゾネクトが泣き出した。
 一筋の涙を落として、泣いてる。
 「アルフリードは貴方が欲しかった答えを確かに知っていたのに……伝え方を間違えてしまった。私達はただ、こうしていれば良かった。こうするだけで良かったのね」
 「離せ!」
 「私は貴方を赦さない。絶対に何があっても憎み続けるし、アルフリードを殺した貴方を殺してしまいたいと思ってる。だから、壊して。それが貴方に求める私達からのお願い……罰。壊して、レゾネクト」
 「……っ!!」
 幼女が離れた隙に二人を振り返れば、実際に見るレゾネクトの涙が増えてる。苦しそうに、辛そうに歯を食い縛ってる。
 「レゾネクト」
 薄水色と紫色の眼差しがぶつかり合う。訪れる長い長い沈黙。
 先に折れたのは……
 「…………け」
 「?」
 レゾネクトが顔を逸らして床を睨み付ける。
 何を言ったのか、聞き耳を立てようとした瞬間。
 「貴様ら全員、此処から出て行けーーッ!!」
 レゾネクトの怒号を合図に、景色が変わる。空気が動き出す
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