孤独を歌う者 4
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何もかも……全部……」
「ん」
「アリア……私の可愛い娘。私の涙。こうして会えて、話せて、良かった。一人きりにして、ごめんなさい……!」
もう一度、ぎゅうっと強く抱きしめられる。
……温かいなあ。
私は母さんが思ってるアリアじゃないけど、良いかな?
ちょっとだけ、こうしてても良いかな?
「『扉』。来て」
私を抱えたまま、母さんの右手が幼女を招く。
幼女を見れば……大きな目からボロボロと涙を溢れさせ、ぐしゃぐしゃに歪んだ顔が、私の体に激突してきた。
小さな体で、短い両腕を私の腰に回して、叫ぶように泣いてる。
えーと。
いやまあ、一応、どっちも母さんだからなあ。
絵的にどうなの? とは思うけど、これはこれで良いか。
「……アルフリード?」
大きいほうの母さんが。
私の背後でレゾネクトと話してるクロスツェルを見て、首を傾げる。
私には見えてないが、クロスツェルはどうやら仕草で否定したらしい。
「そう」
母さんは「そうよね……」と呟いて、少しの間うつむいてから。
「レゾネクト」
薄い水色の目を、クロスツェルに頭を抱えられてるレゾネクトに向け。
その姿をまっすぐに見つめる。
レゾネクトも、母さんの声に反応したのかクロスツェルから離れた気配。
至近距離で使う場合も、遠見って言うのかな?
解らんけど、上から覗く感じで状況を探ってみる。
「貴方に、お願いがあるの」
「……願い? お前が? 俺に?」
驚いてるっぽい表情のレゾネクトに、母さんはそっと頷いた。
そして
「壊して」
空気が音を立てて固まる。
幼女までがピタリと泣きやんだ。
壊してって……え?
なにそれ、さすがに予想外なんですけど!?
ここに来て、それ!?
「…………いやだ」
レゾネクトが首を振る。
信じられない言葉を聴いたとでも言いたげに、ぶんぶんと横に振る。
母さんは、レゾネクトをじっと見てる。
「嫌だ!!」
レゾネクトの全身から、薄い緑色の光が滲み出す。
同時に、私を襲う虚脱感。
この野郎……力を持っていくなっつーのに!
「にゃあう!」
「! ティー!」
幼女が焦って振り向いた先で、金色の飛行物体が ひゅん! と旋回。
口をパクパクと動かして、レゾネクトが発する力を食べてる。
「レゾネクト」
ふっと、母さんの体が、私の腕の中から消える。
直後、バカ親父が息を詰まらせた。
「ごめんなさい。私達は、間違えていたのね」
レゾネクトを正面から抱きしめる母さんに、レゾネクトが、泣き出した。
一粒の涙を頬から顎へと伝わせて、泣いて
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