第一章 目覚めるその力
第二話 遺産の村
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過ぎる訳でもない。背はジーノより多少小さい程度か。どれにも幼さが残るが、同時に美しく、可愛らしく。
そして、その目は痛いほどに美しい紅目だった。
リューガは、この一介の狩人は、彼女に魅入ったのだろう。
「どうかしました?」
固まっているリューガにそう言う彼女。ええ、かなりどうかしています。そしてソイツは全くどうかしている自覚がありません。
「……あ! …………えっと、どうぞ」
声をかけられて漸く我に返ったこの男は、少女に通り道を譲った。
「ごめんなさい。こんな狭いところで立ち止まらせて」
リューガのところを通り過ぎた彼女にジーノがそう言うと、少女もにこやかに返す。
「大丈夫です。気にしなくて良いですよ。あなたのことじゃないし」
さりげない毒。ジーノは思わず苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ」
そう言って歩き出す少女。そのとき。
「待って! ……ください」
リューガが振り向き、声をかける。
「俺はリューガ=マエンバー。アンタは?」
あまりにも唐突に名前を聞かれ、一瞬怪訝そうな顔を浮かべる少女。しかしすぐに先程までの笑みを浮かべた。
「レイナ=ブライトンよ」
それを聞くなり目を見開いて、リューガはレイナと名乗る彼女に大きな声を返す。
「覚えとくわ!」
「そう、ありがとね」
それだけ言うと、レイナはまた踵を返して歩いていった。
そこはかとない達成感が、見送るリューガの中にあった。
数刻を置いて、ジーノ。
「良いねえ、甘酸っぱいねえ! ボーイミーツガールだねぇ! 爆発しやがれ!」
「爆発!?」
「全く、水を差そうと思えばさせたんだからさ、感謝してくれよ!」
そう言って、結局先に集会所に入るのはジーノとなった。
「おい待てって! 何だよボーイ何とかって! あと爆発ってどういうことだよ!」
後ろから騒がしいのが付いてくるのも気にせずに。
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