第一章 目覚めるその力
第二話 遺産の村
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対面である以上は仕方のないことだ、というよりは当然と言うべきだろう。ハンター同士の会話と同様に出来るはずがない。
そんな彼の状態を知ってか知らずか、ギルバートは一息置いてから再び言葉を紡いだ。
「しかし……荷物が多いようですね」
(やっと分かりやすい話題が来た……!)
「そうそう! ここまで運ぶにも疲れたっす!」
「リューガ」
「はい」
目で制される。小柄ながら流石の威圧感である。
(これじゃ全く口開けらんねえ!)
二人のやり取りも意に介さずに、ギルバートは続ける。勿論リューガの内心など知る由もない。
「その荷物では楽にも出来ないだろう。あちらにあなた方の為の宿舎を用意した。是非使ってください」
そう言って、村長の男が手を向けた先には、大きな建物があった。
「おー、デカいな」
「ありがとうございます。わざわざ用意して頂けるとは」
「個々の部屋はあまり大きくありませんが、決して不足にはならないでしょう」
「いえ、ご用意されているのであればこちらとしては嬉しい限りです」
「ありがとうございます」
お礼はしなければ、と思ったらしいリューガが便乗する。
その彼を横目でチラリと見る。それも一瞬で、すぐに目線を前へ戻した。
「それでは早速中に入らせていただきます」
「ええ、どうぞ」
二人はその言葉を聞いてから、礼をする。それから踵を返し、その大きな建物へと向かっていった。
彼らを見送る村長のギルバート。ある程度遠くへ行ったところで、フウーッ、と息を吐いた。
「堅苦しい会話は息が詰まるわい。……あのちっこいの、ガキの割にはしっかりしとるのぉ」
愚痴は二人にも聞こえていたようだ。流石のハンター、感覚が無駄にキレている。
「俺みたいなのが全く口開けないもんな。こんなんだから世の中めんどくせーんだよ」
先にそうのたまったリューガに対し苦笑いを浮かべるジーノ。しかし、同時に「まあねぇ」と、肯定の言葉も口にした。それから続ける。
「誰が敬語とか考えたんだか」
「じゃあ何でそんな喋り方するんだよ」
「人間関係って知ってるかい?」
「それ言ったらおしまいだろうよ」
「おしまいだね。……まあ、世の中そういう風に出来てるんだ。君もその辺しっかりしてくれよ。頼むから」
「へいへい、分かりましたよ」
(無理だな、こりゃ。まるで──)
そうしている内に宿舎の目の前まで来た。二人の表情が綻ぶ。
「やっと休めるぞー」
「おー」
まだ、荷物運びという一苦労がある。というか、そっちの方がが割りとメインの疲労要因でもあったりする。ハンターといっても、人である限りはその辺はやはり変わらないのだ。
宿舎に着いた。三階建てでこの世界としては確かに大きい建物だが、その代わりか簡素な造りだ。木材の見
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