第一章 目覚めるその力
第二話 遺産の村
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よ?」と聞いた。
「無視するなよ…………まあ服とか道具とかの他は特に無いかな」
ジーノはそう不満げな表情で言った。それから言葉を続ける。打って変わってニマニマとした表情だ。きっと楽しみなのことなのだろう。
「なんか美味しいものがあれば娯楽は十分だしさ」
聞いて、クツクツと笑うリューガ。
「また飯か」
「また飯だよ」
「楽しみなんだな」
「当たり前さ」
「お前、そんなに食べる癖に何でそんなに背が小せえんだ?」
リューガがからかう。
「お天道様に聞いてくれ」
ジーノは吐き捨てるように返した。少しムッとした様子である。
「空は一言も喋らねえぞ」
「声出してきたら逆に困るけどね」
このように、どちらかが話題を出し、もう片方が返し、時折からかい合い、時折笑う。普通の、但し実のない会話をしながら、二人は荷車に荷物を積み終えた。
まずは村長に挨拶をしなければならない。
暇そうな村人に村長の特徴や居場所を教えてもらったりして、まもなく見つけた。彼は村の中央の広場にいた。
好好爺然とした白髪に黒目の人間族。シワの数は確かに多いが、髪の数や目の色には若々しささえ感じられる。
「失礼します」
「失礼しまーす」
リューガとジーノは村長に声をかける。二人のこの声で村長が彼らの方を向き、そして見知らぬ者と認識すると、彼は立ち上がる。
まずジーノが口を開いた。
「あなたが村長でよろしいですか?」
「うむ、いかにも。あなた方は?」
「はい。先日通達を送らせて頂きました、ラーガ村周辺の環境を調査を行う者です」
「ほう。あなた方が王立古生物書士隊の……」
「はい。私はジーノ=バルバーリです。それと、こちらのは隊員ではありません。……リューガ、挨拶を」
ジーノがやや唐突に話を振る。リューガは少し狼狽えた様子を見せた。
「え、あー……ハンターやってます、リューガ=マエンバーです。よろしく、お願いします」
どこかぎこちない挨拶。
ギルバートはその名前を聞いて眉をピクリと動かした。どうやらこの名前に心当たりがあるらしい。
「む。確か弱冠16歳でモノブロスを討伐したという……」
「え、知ってんの──って痛ッ!?」
リューガの後頭部を叩くジーノ。タメ口は許さないようだ。
ジーノが咳払いを挟む。
「無礼をお許しください」
「いやいや、このくらいで怒る気はありませんよ。──さて……私はギルバート=ルーカス。このラーガ村の村長です。あなた方の探査への協力に出来る限りの力を貸すつもりですので、どうぞ、よろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ」
叩かれてからの会話の間、リューガは二人をつまらなさそうに眺めていた。かしこまった会話に口を挟むことも出来ず、不満は溜まるばかりであったが、両者が初
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