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モンスターハンター 龍の力と狩人たち
第一章 目覚めるその力
第二話 遺産の村
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ない穴なのだが。
「もしかしたらあれはひこうせんじゃなくてひこうせんに似てるモンスターかもニャ」
「マジかニャ!? じゃあ大変じゃニャいかニャ!」
 片方が冗談を言うと、もう片方の冷静なアイルーがその一言でうろたえる。この子はちょっとアホの子だったようだ。
「いや、冗談ニャんだけど……」
「え、あ…………驚かすニャよ……」
「ひこうせんじゃあ驚かないのになんでただの冗談で驚いてるんだニャ……」
 驚きのツボも人それぞれ。アホの子アイルーもまた、ちょっとズレた感性だったそうだ。
 飛行船一つに盛り上がりまくるアイルー達を尻目に、老人もそれをジーッと見つめていた。
「それにしても、何故にあんな大きな風穴が空いてるのかの?」
 竜人族の農場長もまた、例の飛行船に空いた風穴の事は疑問に思ったようだ。
「ま……中にいるのが無事なら何と言うことも無いのじゃがの」
 そう言って、彼は未だ興奮冷めやらぬネコ達と、村の方向へ向かう飛行船を交互に見るのであった。



 ここはラーガ村。周囲を山に囲まれた盆地に位置する、自然豊かな村。付近にはこの盆地の象徴とも言える、巨大な湖がある。遥か昔から渇れることなく生命を育み続けたこの湖には多くの謎が遺されている。
 解読不能な石碑や謎の彫像、何らかの道具と見られる正体不明の物体の欠片などといった、古代の人工物とされる物品が数多く発見されることや、この湖の固有種が周辺地域とは一線を画すことなどで、研究者の注目を集めている。

 リューガ達の目的もまた、この湖の調査に他ならない。
 尤も、この調査で主だって動くのはジーノの方で、リューガはただ随伴しているだけに過ぎないのだが。



 飛行船が村に到着した。乗っていた人々は各々が多様な表情を浮かべている。
 しかし大抵は、何処かに安堵の色が浮かんでいた。
 特に、襲撃時に腰を抜かして何も出来なかった例の若い商人連中はそういった表情を隠そうともしない。まるで地獄から帰ってきたと言わんばかりの満面の笑みであった。頭の中にあったはずの計画さえも今は忘れているであろう。

 そうして安堵の表情で言葉を交わしながら荷下ろしが行われた。

 リューガとジーノは、その流れで感謝されたりされなかったり、飛行船が少し壊れてしまったことを謝罪したりしなかったり。そうやって乗客たちと会話した後、自分達の荷物のところへ向かった。
 そうしてあくせくと荷下ろしに勤しんでいるのだが、ここで少し汗水を垂らし始めたリューガが口を開く。
「なんか、暑くね?」
 季節は温暖期だ。盆地に位置するこの場所はリューガの言う通り、暑い。標高はそれなりに高いのにも関わらず、である。更に言うと、湿度も高いので蒸し暑かったりもする。部分的とはいえ防具を身に付けているなら尚更
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