第一章 目覚めるその力
第二話 遺産の村
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後
ここはある村の一角にある農場。
夏の始まりで、作物と同時に雑草も成長しつつあり、虫も多くなっていく頃。勿論害虫も出てくるのでこれらの処理は不可欠だ。
また、この時期に植え付ける作物もある。
そういった農作業を沢山の労働力を以て行っているのだが、その殆どはアイルーという猫型の獣人族である。
白い毛並みが特徴で、本来は人間とはまた別の文化を持っているのだが、彼らの様な一部の者は人間と共に生活している。その知性は、人の言葉を理解したり、道具を造ったりすることが可能な程。個体によっては並みの人間以上の知能を持つ者さえいる。
そんな彼らがせっせと働いている中で、一人の小さな老人が彼らを見守っていた。
身長は人間の胸部にも届かないだろう。耳は尖っており、身長に対して顔は大きい。杖を持ち、大きな頭に同じくらい大きな麦わら帽子を被せ、微笑んでいる。
こちらは竜人族と呼ばれる人々の一人で、人間よりも多くの知識を持つため、こういった場所では指導者であることが多い。この老人も例外ではなく、この農場を仕切っているのはこの竜人族の翁である。寿命も長く、大体は4〜500年は生きる。この老人の様に年老いると小柄になっていくのだが、若いときは容姿端麗で身長も高い。反面、その寿命の長さは生殖の必要性が少ないことを意味し、そのために人口は少ない。
時刻は昼前。空に上る日は頂点を極めようとしている。日光は地上を明るく照らし、熱を与えていた。猫達は、そんな中で汗水を垂らして農作業を続けている。
「ふぃ〜……今日も暑いニャ……んニャ?」
不意に空が暗くなる。一人のアイルーは思わず空を見上げた。
空を覆っていたのは、巨大な飛行船だった。どうやらこの村に着陸するらしい。ここ最近、村は飛行船が来るという噂で持ち切りだったが、その飛行船が遂に来たのだ。
「あわわ!? ニャんだあれ!?」
そのアイルーのその声を皮切りに、のどかなはずの農場が騒がしくなっていった。
「すげえニャ! でかいニャ!」
その声に農場のアイルー達は悉く反応した。その表情は驚愕、茫然、羨望、或いは興奮など様々だが、総じてその目はキラキラとしている。
「あれがひこーせんって奴かニャ!?」
「ニャ……あれが話題の……!」
「ホントに空飛んでるニャ! 時代は進んでるニャ!」
「ボクも乗って見たいニャー……」
農場は興奮の渦に包まれている。しかし一方で、冷静さを保つことができたアイルーは一つ疑問を抱いた。
落ち着いたアイルーは二匹いて、その内の一匹が呟いた。
「で、でも、何であんなでっかい穴が空いてるんだろうニャ……?」
そう、リオレウスとの交戦時にポッカリと空いた例の風穴だ。一見いらないものがあれば、誰でも疑問に思うだろう。
この穴に限って言えば、本当にただのいら
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ