一章
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バラと離れていくが、男はそのまま煙をふくだけだった
「相手が悪い、デカブツ。俺のことを知らねぇうちからケンカを売るからだ」
「これを見てもまだそんな口を叩くか!もういい!潰れてしまえー!」
岩はティナ持ちの手を離れ、まっすぐに男のもとへと落ちていく。力の込められたそれは威力も速度も申し分ないほどにあった
「お、お客さん!」
店主が叫ぶ。しかし、男はニヤリと笑った。そして片手で指をパキンとならす。
岩はそのまま地面に落ち、地を割り、振動をもたらした。砂ぼこりが舞い上がり、いつまでも落下音が響き、誰もが口を閉じた。
「は、はは!やってやったぜぇ!!!」
ティナ持ちは歓喜の笑い声を上げた。彼のボスも、その仲間も、だらしのない顔で笑みを浮かべる。
しかし、それもつかの間、男はなにかに叩き潰されたのだ
「う、うぎゃ、ああああああ!!」
ものすごい力で顔面を捕まれ、みしみしと頭蓋骨が叫びをあげる。顔を岩に変えようと関係ない。ティナ持ちはわなわなと震えた
「各がちげぇんだよ」
それは痛みのためではない。ここまで近くにきて、やっとその男の姿が、そしてその顔が。見えたのだ
「ひ、あ…………おま、えは……」
雲に隠れていた月はようやく姿を表す。
ティナ持ちを掴む手は、もともとあった手と同化し硬化した黒い無機質な爪、紫の深い色合いをした目は深紅の光を写さない無情な色へと変わり、口からは少しだけ尖った牙が覗いて見えた。しかし、誰もが目を奪われたのは、その背にある冷たくも美しい黒い翼。羽のないそれは鈍く月明かりを受けて光り、先端の鍵づめのような凶器がギラリと鋭さを見せつけた
その姿を知らないものはいない
襟元くらいの黒と茶色の混ざった髪、切り長で鋭い眼、薄い口元は歪めて笑う。
大犯罪者ゼロ
彼の首には10億の賞金がかけられ、人から悪魔や魔帝と呼ばれる
ティナ"悪魔"を有するものだった
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