§68 最恐にして最強
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どうぞ」
「……つまんないなー。ここは「俺の獲物だッ!!」って言ってやり合うとこじゃないの?」
熱血展開ならアリだろう。だけど残念ながら、そこまで意地を張る必要性が黎斗には見受けられなかった。
「自分そんな趣味ないんで。任せた」
「ホント淡泊だねぇ。まー騒ぎの中心に行けば神様いるかな」
適材適所だ。戦いたいヤツに戦ってもらうにこしたことはない。そんな黎斗にとって、ドニの発言は渡りに船だ。あっさりとドニを見送って、
「よし寝よう」
布団に潜ろうとしてエルにひっぱたかれる。
「馬鹿なこと言ってないで暴徒鎮圧に行きますよマスター」
「えーアンドレア卿にお願いすればいいじゃん……」
知ってた。結局ドニが行っても黎斗は黎斗ですることがあるのだ。権能による影響ということは、人間が行ってもミイラ取りがミイラになって終わってしまう。暴走するアンドレアとか厄介な事この上ない。ドニのストッパーがいなくなる。黎斗はドニのストッパーになる気などない。阿呆のお守りは三馬鹿だけで限界だ。三馬鹿すらも満足に出来ている気がしないし。
「しゃーないか」
引きこもれるのはいつの日だ、そう思って出ようとしたら。
「黎斗、頼む……ヤツは美術館にいる。僕の代わりに、倒してくれ……」
早い、という感想よりも。帰還してきた、という事実に驚く。
「はぁ!!?」
誰が予想できるだろう。ドニが、サルバトーレ・ドニが、戦闘から逃げ帰ってくるなど。
「あれはダメだ。僕じゃ勝てない」
「ドニ、お前……」
恐怖に顔を歪めてドニが呻く。ドニの戦意喪失という事態にアンドレアまでもが呆然とする。
「……どんな権能を」
使うの、と尋ねようとした矢先に爆音が響く。ドニの顔が青褪める。
「うわああああ!!!!」
ドニが発狂したかのように叫びだす。銀に光った腕が屋敷を一瞬で破壊する。そのまま彼方へ駆け出すドニ。なんだこれは。いったい何が起きている。
「……恵那、アンドレア卿。ドニをお願いします。エル、一応翠蓮と護堂に連絡を」
この様子、相手はドニに完勝した、と言ってよいだろう。そんな相手に勝てる保証などない。最悪の事態を想定する必要があるだろう。むざむざと負ける気はないけれど。
「マスター!?」
「れーとさん!?」
「大丈夫。最悪情報だけでも持ち帰る」
エルと恵那は動揺した。だって彼女たちにとって初めての黎斗の”弱気”な発言なのだから。何世紀も共にしたエルですら聞いたことはない。
「……御武運を、マイマスター」
「……我らの王よ、御身に勝利を」
恭しく、しかし想いを込めて。眷属と巫女は勝利を願い。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ