4部分:第四章
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フランコは一旦はこう言う。
「じゃあ帰るのかい?」
「いや、もう少し続けよう」
だが彼はここでこう言うのであった。
「上に上がっても特に何もすることはないしな」
「酒とか博打もかい」
「酒はともかく博打はな」
フランコはそちらにはいい顔をしなかった。どうたら彼としてはあまり好きではないらしい。
「別にどうでもいい」
「そうなのか」
「だからな。特にすることもないし」
また言う。
「もう少し見回ってみるか」
「そうするか。といっても何もなさそうだな」
マクガイアはここでまた辺りを見回す。やはり何もない。下水と暗く湿ったコンクリートの通りと壁、それと鼠が見えるだけだ。後はマンホールの上りだけである。
「只の散歩と変わらないな」
「散歩だったら奇麗な女の子と一緒にしたいね」
「言うねえ。まあこんなところ女の子と一緒には行かないな」
「そういうことだな。んっ!?」
ここで遠くに灯りを見るのだった。
「職員の見回りか?」
「そうかもな。隠れるか?」
「ああ。見つかったら色々と面倒だしな」
「そうだな」
フランコとマクガイアの意見が一致した。丁度角を曲がったところだったので角の陰に一旦隠れる。光は前からやって来ていてしかも反対側の通路であった。かちあう可能性がないのが二人にとってはまずは幸運なことであった。
「何か声が聞こえるな」
「ああ。何だこれは」
二人はその灯りのところから声が聞こえるのに気付いた。それは何か歌っているようであった。さらに聞いているとそれが何の歌かもわかった。
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