レポートNo.58
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千里眼…………便利な魔法だよ。
明らかに違法の薬物や違法以前の人体実験施設まで完備された非人道的な所を容易に侵入出来るなんて。
簡単にざっくりと説明するなら僕は今、国家機密級の極秘研究所に侵入していた。傘繭を助け出す為にわざわざ侵入路を探して入ったけど色々と知ってはいけない物を知ってしまった。
人口吸血鬼の製造やら人口吸血鬼のり量産法等…………まぁ、以前から国家機密レベルの情報は知ってたけどこんなあっさり丁重に保管してるなんてね。
謎の殺人事件の犯人は吸血鬼……パラサイトで人間の生気や血を吸い取って殺すと。
この殺人方法なら本当に吸血鬼の仕業だと言っても信じられそうだ。
国外からの侵入経路で他国から派遣された魔法師を捕獲し……パラサイトを独自改造で日本特有の【鬼】吸血鬼の製造に成功と。
欠点だらけの鬼…………成程、魔法を無効化する特殊な皮膚と強靭な肉体を兼ね備えたスクラップモンスター。
実験、製造には成功しても実用化は不可能とされ凍結された実験…………この資料だと吸血鬼の実験は数年前に終わった筈なんだけど。
「なら、アレは生き残り? それとも実験は再開されたとか?」
傷だらけで腐りかけの肉体―――資料で写されてる吸血鬼もどきとそっくりなんだけど。
暗闇で蠢き目を光らせる吸血鬼……多分、吸血鬼もどきだ。
実験で余った失敗作と考えるが、そんな暇を与えてくれる程、吸血鬼もどきも悠長ではない。
鋭く尖った爪で引き裂こうと吸血鬼もどきは飛び掛かった。
藤宮はそれを回避し入り組んだ道を走り抜ける。資料通りなら魔法を発動しても無効化される、なら最初から戦闘を回避すれば問題ない。
それに今は傘繭を救出するのが優先事項だ。
千里眼で道程は把握済み、吸血鬼もどきを撹乱しつつ藤宮は監視カメラや赤外線センサーを破壊する。
建物全体に響き渡る警報…………バレたね。でも、バレたからって止まる訳にはいかないんだ。
侵入者の侵入を阻止するシャッターや自動で攻撃する自動小銃は無視だ。
危険だと判断する物のみ魔法で鎮圧し後は全て無視した。時間を掛ければ掛ける程、こちらは不利になる。
姿も監視カメラでばっちり映っちゃてるだろうしぱぱっと傘を回収して研究所ごと破壊すればノープロブレム…………まぁ、それでもあの吸血鬼もどき達はそれでも生き延びるかも知れない。
面倒事は増やされる、厄介事も増やされる。
傘繭さんには後できっちり働いてもらわないとね。
「…………怪物……?」
傘繭は周囲を確認し、少年の言った怪物とやらを探す。
だが、その怪物とやらは見当たらない。
「大丈夫、今ならその怪物も居ないよ」
「なんで……そんな事、解るのさ」
「解るよ、だって私、お姉さんだもん!」
えっへん
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