3部分:第三章
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第三章
「何だい?」
「あんた、名前は何ていうんだったかな」
「あれ、さっき身分証明書見ただろ」
フランコは彼の言葉を聞いて目を丸くさせた。
「レロン=フランコだよ」
「そうか。俺はラルフ=マクガイア」
警官はこう名乗ってきたのであった。
「覚えておいてくれよ」
「何だ?あんたアイリッシュか」
彼は警官の名前を聞いてそう問うた。『マク』やが姓の先に付くのはケルト系の証である。例えば彼だと『ガイア家の息子』というふうになるのだ。マッカーサーにしろこれによりケルト系であるとわかる。彼はスコットランドからの移民の子孫であったのだ。
「その名前だと」
「親父はそうさ」
マクガイアはそう答えてきた。
「お袋はネイティブだけれどな」
「肌はそんな感じだな」
「そうさ。まあ複雑な環境だろ」
「そうか?アメリカだったら普通だろ?」
フランコは笑ってマクガイアに言い返した。
「そんなのは。俺だってメキシコからの不法移民の子だしな」
「まあそうだな。それはお互い様か」
「そういうことだな。じゃあまあこれでな」
「ああ、またな」
彼等はこれで一旦は別れた。だがその夜フランコは一遊びした後で夜の街に出ていた。目的はやはり一つであった。
夜のラスベガスは明るい。ネオンで様々な色に輝いている。その中では一儲けして笑顔でいる者もいれば大負けして怒り狂っている者もいる。美人を横にはべらせて飲んでいる者もいれば怪しげな店に入って悦に入っている者もいる。やはりここはラスベガスであった。夜にこそ輝く街であった。その街の中を彼は一人周囲を探る目で歩いていたのだった。
「やっと見つけたな」
周りに誰もいないのを見計らって呟く。
「ここで行くか」
「何処に行くんだよ、おい」
ここで後ろから声がしてきた。振り返るとネオンの派手なアルファベットを後ろにしてそこにジャケットとジーンズの男が立っていた。
「言っただろ?制服の警官に見つかったらやばいってな」
「何時からラスベガスの警官の制服はジーンズになったんだよ」
フランコは笑ってそのジーンズの男に言葉を返した。
「俺の記憶じゃ昼にはまだ制服だったよな」
「ああ、その通りさ」
ジーンズの男は声を笑わせながら近付いてきた。見ればそれはマクガイアであった。
「だから今は捕まえないさ、安心しな」
「まさかずっとマークしていたのかよ」
「いや、それはない」
マクガイアはそれは否定した。そうしてフランコの前に来ていた。
「たまたま遊んでいたら御前さんがいたのさ。偶然ってやつだな」
「いや、それは腐れ縁だな」
フランコはこう言い返した。
「それはな」
「まあそれでもいいさ。それでもな」
「ああ、それで俺は今からな」
フランコはそのマクガイアに対し
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