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下水道
3部分:第三章
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てまた言う。
「ちょっと行って来るぜ」
「何だ、一人でか」
「あれ、そのつもりだったんだけれどな」
 軽い調子でまた言葉を返す。
「違うのかい?」
「言っただろ?非番だ」
 声も顔もそれまでよりも笑ってものになっていた。
「だからな。今は法律に触れない限り何をしてもいいんだよ」
「へえ、じゃあ俺について来るっていうのかい」
「いや、マンホールの下に俺の別荘があるんだ」
 そう冗談めかして言うのであった。
「だからな。ちょっと別荘に取りに行くものがあってな」
「それで行くだけか」
「そうさ。道は多分同じだろうな」
「そうかもな。じゃあ一緒の道を行こうぜ」
「道連れってやつでな」
 そんなことを言い合いながらマンホールの蓋を開けて中に入る。下水道の中は中央に川のように汚水が流れ両脇が廊下になっていた。灯りは何もなく暗く湿った中で時折水滴の音が聞こえるだけだ。足元に鼠が時々見える以外は何も見えはしない。
「何だ、何もないかもな」
「いや、わからないぞ」
 その到底快適とは言えない周りを見ながら言うマクガイアにフランコが言ってきた。
「まだ中に入ったばかりだしな」
「それもそうか。しかしな」 
 マクガイアはここで顔を顰めさせた。それと共に鼻を摘んだ。
「臭いな、やっぱりな」
「下水道だからな、やっぱり」
 見ればフランコもその彼と同じ顔になっていた。
「匂うのも当然さ」
「それもそうか。それで噂だとな」
「大蛇か宇宙人がいるんだってな」
「それだったら何時そこから出て来てもおかしくはないよな」
 そう言いながら川のように流れている下水を指差して言う。
「くわって首をもたげてな」
「一応持ってるものは持ってるぜ」
 フランコは懐を叩いて笑ってみせた。
「それもマグナムをな」
「大蛇でも一撃ってやつか」
「そういうことさ。あんたも持ってるだろ」
「一応はな。何しろ物騒な街なんでな」
 そこはやはりアメリカであった。
「いつでも用心はしているさ」
「シスコよりも危ないのは確かだろうな」
「何だ、あんたそっちから来たのか」
「ああ、そうだぜ」
 笑ったままマクガイアに答えてみせる。

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