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詩集「棘」
真夜中の追憶

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愛した人は傍になく
ただ北風が全てを攫ってく
三冬月の夕べ…嵐
説き伏せるように寒雷が響く…

不意に訪れた静寂
生きる意味を問い掛ける
返す言葉はあるはずもなく
虚空へと溶けてゆき…

真夜中の追憶
恋しさが心を刻む
温もり求める手は冷たく
切なさに搦め捕られて…


想うことの淋しさは
もう知っていた筈なのに
灰色に染まった…世界
足掻く力もなく溜め息をつく…

ふとした瞬間 気付く
一人だけを想い続け
待つことは愚かしいことなぞ
もう疾っくに解ってる…

真夜中の追憶
あの頃の夢の痕に
君への恋しさ降り積もり
儚さだけが残ってく…


会いたいと思ってくれますか…?
心は淋しげに問う
求めようもない答えは
昇る朝陽に掻き消され…

真夜中の追憶
この愛しさを棄てられず
夢でさえ会えない君は
きっと僕には幻で…

真夜中の追憶
恋しさが胸を打ち付ける
心を求める腕は冷たく
哀しさに搦め捕られて…




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