孤独を歌う者 3
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が引き攣るんだ。
俺は、何故……
『来いよ。レゾネクト』
アルフリード
『貴方の目に美しいと感じるものは無かった? 心地好いと感じる音は? 手当たり次第に壊して、その記憶に、心の中に、何か一つでも残ってる? 何も無いでしょう? 貴方が探してる答えは、その手で掴み取りたいもの、包みたいものだったのよ』
マリア
何も無い。
器を抱きしめても、お前はここに居ない。
お前達は、ここに居ない。
ウェルスもコーネリアも、アルフリードも……マリアも居ない。
誰も、笑わない。
どうやら、アリアも逃げたらしい。
気配が唐突に、ぷつりと途絶えた。
「もう一度世界を見る、か」
アルフリード達の記憶を携え。
アルフリード達に繋がる記憶を探しながら。
アリアが受け継いだ俺の力を使って、世界を見る。
ただ、見る。
アルフリード達が笑っていた場所。
泣いていた場所。
戦っていた場所。
勇者一行の旅を辿って、遡って。
なんでもない場所も観察して。
やがて行き着いたアルフリードの生まれ故郷は。
人間同士の争いで、跡形もなく消えていた。
…………つまらない。
なんて美しくて、つまらない世界。
この世界にも、俺が欲しい答えは無かった。
俺は何故、ここに居るんだ?
「お前達が居ない世界は、つまらないな」
それでもここは。
バカみたいに笑うウェルスが。
冷静に場をまとめるコーネリアが。
子供みたいなアルフリードが。
常に前向きであろうとしたマリアが。
魔王の敵達が護ろうとして護り抜いた、尊い世界。
「そろそろ、アリアを起こそうか」
勇者一行の一員である聖天女の娘になら、世界を受け継ぐ資格がある。
娘の願いを叶えてやった上で、アルフリードを呼び戻せば。
マリアもきっと、正気に戻る。
いや、アルフリードにしか戻せない。
アルフリードにしか、マリアを笑わせられない。
「マリアに、アルフリードと笑顔を返すんだ」
………………え……、と…………どうしよう?
全力で突っ込み入れたいんだけど。
でも、確かにこれは、私じゃどうにもできないわ。
この底無しのバカったれ野郎を、勘違いの沼から引っ張り上げられるのは
「……っか、」
レゾネクトから離れて、幼女と母親を交互に見る。
えーと、こう、絵的に考えれば、母親のほうに行くべき……だよな?
多分。
「……か……っ」
「……?」
蒼の女神に支えられながら私達を見上げてる母親を見下ろして……
「〜〜〜〜────かっ、か……、かぁ……っ!」
…
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