暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 3
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 気を失う寸前まで追い込んでいたマリアの、掠れた悲鳴。
 俺の声に驚いた子供は、墓の前から走って逃げた。

「…………『アリア』?」
「────っ!!」

 咄嗟に口元を押さえたマリアの顔色が。
 余計なことを口走ってしまったと、雄弁に語る。

 どこかマリアに似ている子供。
 俺に繋がった『アリア』。

 そうか。
 マリアがこの空間から出ていった時に繋がった声。
 あれは

「俺の血と力を分けた、お前の子供か」

 ひっ! と、マリアの喉が小さく鳴る。
 全身でガタガタと震え、赤く腫れた目元を新しい涙が絶え間なくなぞる。

「やめっ……、やめて……っ!」

 何も言っていないのに、マリアは首を振って俺を非難する。

 アリアに手を出すな。
 アリアは関係ない。
 アリアを巻き込むな。

 凄まじい形相で。
 頼りない力で。
 俺を殺そうと、両腕を伸ばして必死でもがく。

「つまらない、な」

 そんな顔はもう、見たくない。
 暴れるマリアを抱き潰しては、記憶の中で微笑むマリアを見て。
 時々アリアの声と話し、なんとなく興味で探ってみる。
 それを何度もくり返して……気付いた。

 アリアは、アルフリードに与えられた神々の祝福を受け継いでいる。
 マリアを通して伝わったのか?
 俺の力も、生来の性質とは異なるものとしてアリアの中に存在している。
 なら、

「アリアになら、アルフリードを呼び戻せる」

 そうだ。
 記憶の中で、マリアはいつもアルフリードに笑っている。
 勇者が居れば、マリアはこんな風に笑うだろう。
 アルフリードを呼び戻す為には……

「いやあぁぁあぁあああああああああああ!!」

 アリアとの契約がもうすぐ完遂するという時に。
 アリアと交わした契約の内容と、その目的を知ったマリアが、狂った。

 言葉もまともに話さない。
 俺に対して、憎悪どころか、怒りすらぶつけてこなくなった。
 寝室を飛び出し、あらゆる場所で布を裂き、装飾品を壊し。
 何度止めても、自分自身を引っ掻いて傷付けて、壁に体当たりして。
 泣き叫びながら、奇声を上げながら、王城内をひたすら闇雲に暴れ回る。
 その姿のどこにも、優しく微笑むマリアの面影は無い。

「眠れ、マリア」

 だから、壊した。
 マリアの意思を。
 マリアの記憶を。
 全部壊して、眠らせた。

「……マリア……」

 空っぽだ。
 暗闇の中のどこにも、俺が欲しいものは無い。
 暗闇も空っぽ。
 マリアも空っぽになった。
 抱きしめても、求めても、何も感じない。

 ……寒い。
 寒くて、冷たくて、息苦しい。
 どうしてこんなにも喉
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