孤独を歌う者 3
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両腕と顔半分を包帯で覆った、虹色に光る虹彩を持つ……
マリアと同族の神?
怨みと憎しみの言葉を延々と連ねるマリアよりも。
説得と懐柔を狙った言葉を並べ立てるバルハンベルシュティトナバールと名乗った男のほうが気になる。
マリアの肩を支え、マリアの信頼を得て、俺と対峙する男。
……何故、そこに居る?
マリアの隣に居るべきは、お前じゃない。
マリアに触って良いのは、お前じゃない!!
「お主……可哀想に、……のぅ……」
マリアに触れるのは赦さない。
記憶を読む価値さえも無い。
男を灰も残さず消し去った俺に、マリアは激しい怒りをぶつけてくる。
それが、ますます苛立たしい。
何故だ?
お前はアルフリードを愛していた筈だ。
何故、他の男の為に泣く? 怒る?
他の男を思って俺を憎むお前は、認めない。
絶対に認めない!
「貴方だけは、絶対に、赦さない……! 赦すものか……っ!」
憎悪と拒絶のマリアを無理矢理押さえつけて、翼を完全に奪い取り。
出ていく前よりもずっと激しく抱く。
休む間を一切与えず、いつ体が壊れてもおかしくないほどに。
強く強く強く強く。
意識がある間は、数秒たりとも離さない。
意識が無くても、腕の中に閉じ込めて離さない。
長く長く長く……
……俺の中に、マリアが二人居る。
仲間と笑い合う楽しそうなマリアと、泣きながら憎しみを編むマリア。
眠れば優しい微笑みを浮かべるマリアが。
起きれば憤怒に喘ぐマリアが居る。
腕の中で気を失っていてなお、苦しげに眉を寄せて泣く。
何故、こんなにも違っているのだろう?
「つまらない」
涙を流す苦しそうな顔より、もっと違う表情が見たい。
仲間に……アルフリードに見せる顔が見たい。
アルフリードが居れば、何か違うんだろうか。
だが、アルフリードは……
『……ない……』
「?」
『誰も居ない……どうして……』
声がする。
誰の声だ?
消えそうにか細い、子供の声。
『どうしてみんな、私を置いていくの? さびしいよ……もう嫌だよお』
声を通して何かが見える。
土を掘って被せただけの小さく簡易な墓の前で、子供が泣いている。
ぼさぼさで荒れた白金色の髪に、涙で濡れた薄い緑色の目。
土で汚れた青白い肌の、とても健康的とは言えない痩せ細った手足。
ボロボロの布切れを羽織ったみすぼらしい容姿だが。
どこか、マリアに似ている。
「何故、泣く? 何が悲しい?」
『!? え……、なに? だれっ!?』
「お前は、何だ?」
視界の先に居る子供への問いに答えたのは
「……アリ……ア……!?」
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