孤独を歌う者 3
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に居たんだ? 神々は何故、俺を殺そうとしたんだ? 何故……勇者達と戦ったんだ?」
「あれ」はもういない。
全てが終わったのなら、新しい世界では俺が存在する理由も戦う理由も無い筈なのに。
俺は、何の為に存在している?
『同じ目線で物事を見るんだ。其処に求める答えがある』
マリアを失う事で俺と同じになるかも知れなかったアルフリード。マリアの喪失を極度に恐れていたアルフリード。女神を通して自己を定めていた勇者。
お前が強く望んでいた事、お前と同じ事をしていた筈なのに……答えは全然見付からない。マリアは俺に映らない。熱と感触以外の何もくれなかった。
そして、もう……届かない。
「寒い……な」
眠って、起きて、眠って、起きて。退屈を誤魔化すつもりで、人間の真似を繰り返してみる。
そうしていると、いつの間にか勇者達の記憶が眠りの間に再生されるようになった。
コーネリアとウェルスが笑いながら子供二人と戯れていたり、ウェルスの冗談でアルフリードとコーネリアが怒っていたり。反応に困ったマリアを三人で笑わせてみたり。楽しそうだ。
……ああ……。
四人はとても楽しんでる。光に満ちた世界で笑っていた。
……笑って、いたんだな。
「……?」
目を覚ます度に零れるこれは何だろう? 頬が冷たい。涙? 泣いてるのか?
それにしては人間達やマリアと違う。俺は彼女ほど叫んだりしてない。叫びたい衝動も感じない。
ただ……やっぱり、寒い。
「寒さ……これもお前が残した熱だな。マリア」
何をするでもなく、ごろごろごろごろ。
眠って起きて、眠って起きて。
再生される記憶から覚めては、頬が濡れる。
誰も居ない「空」間は……ああ。
確かに、「空っぽ」だ。
「レゾネクト!!」
「マリア?」
出て行ったマリアが、少しだけ成長して戻って来た。
何故?
いや……これだけ明確な殺意を持っていれば、目的は一つしかない。それは解る。
じゃあ、この男は何だ?
両腕と顔半分を包帯で覆った、虹色に光る虹彩を持つ……マリアと同族の神?
怨みと憎しみの言葉を延々と連ねるマリアよりも、説得と懐柔を狙った言葉を並べるバルハンベルシュティトナバールと名乗った男のほうが気になる。
マリアの肩を支え、マリアの信頼を得て、俺と対峙する男。
……何故、其処に居る?
マリアの隣に居るべきは、お前じゃない。
マリアに触って良いのは、お前じゃない!!
「お主……可哀想に…のぅ」
マリアに触れるのは赦さない。記憶を読む価値も無い。
男を灰も残さず消し去った俺に、マリアは激しい怒りをぶつける。それが益々苛立たしい。
何故だ? お前はアルフリードを愛していた筈だ。何故、他の男の為に泣く。怒
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