暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 3
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に居たんだ? 神々は何故、俺を殺そうとしたんだ? 何故……勇者達と戦ったんだ?」
 「あれ」はもういない。
 全てが終わったのなら、新しい世界では俺が存在する理由も戦う理由も無い筈なのに。
 俺は、何の為に存在している?
 『同じ目線で物事を見るんだ。其処に求める答えがある』
 マリアを失う事で俺と同じになるかも知れなかったアルフリード。マリアの喪失を極度に恐れていたアルフリード。女神を通して自己を定めていた勇者。
 お前が強く望んでいた事、お前と同じ事をしていた筈なのに……答えは全然見付からない。マリアは俺に映らない。熱と感触以外の何もくれなかった。
 そして、もう……届かない。
 「寒い……な」
 眠って、起きて、眠って、起きて。退屈を誤魔化すつもりで、人間の真似を繰り返してみる。
 そうしていると、いつの間にか勇者達の記憶が眠りの間に再生されるようになった。
 コーネリアとウェルスが笑いながら子供二人と戯れていたり、ウェルスの冗談でアルフリードとコーネリアが怒っていたり。反応に困ったマリアを三人で笑わせてみたり。楽しそうだ。
 ……ああ……。
 四人はとても楽しんでる。光に満ちた世界で笑っていた。
 ……笑って、いたんだな。
 「……?」
 目を覚ます度に零れるこれは何だろう? 頬が冷たい。涙? 泣いてるのか?
 それにしては人間達やマリアと違う。俺は彼女ほど叫んだりしてない。叫びたい衝動も感じない。
 ただ……やっぱり、寒い。
 「寒さ……これもお前が残した熱だな。マリア」
 何をするでもなく、ごろごろごろごろ。
 眠って起きて、眠って起きて。
 再生される記憶から覚めては、頬が濡れる。
 誰も居ない「空」間は……ああ。
 確かに、「空っぽ」だ。


 「レゾネクト!!」
 「マリア?」
 出て行ったマリアが、少しだけ成長して戻って来た。
 何故?
 いや……これだけ明確な殺意を持っていれば、目的は一つしかない。それは解る。
 じゃあ、この男は何だ?
 両腕と顔半分を包帯で覆った、虹色に光る虹彩を持つ……マリアと同族の神?
 怨みと憎しみの言葉を延々と連ねるマリアよりも、説得と懐柔を狙った言葉を並べるバルハンベルシュティトナバールと名乗った男のほうが気になる。
 マリアの肩を支え、マリアの信頼を得て、俺と対峙する男。
 ……何故、其処に居る?
 マリアの隣に居るべきは、お前じゃない。
 マリアに触って良いのは、お前じゃない!!
 「お主……可哀想に…のぅ」
 マリアに触れるのは赦さない。記憶を読む価値も無い。
 男を灰も残さず消し去った俺に、マリアは激しい怒りをぶつける。それが益々苛立たしい。
 何故だ? お前はアルフリードを愛していた筈だ。何故、他の男の為に泣く。怒
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ