1部分:第一章
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コの所謂イエローペーパーの編集部である。もっぱら宇宙人や幽霊やそういった存在を面白おかしく書いてそれを売っているのである。日本にもよくあるあからさまにわかる白々しい嘘記事を売りにしている場所である。
「それでだ」
「取材に行けって言うんですか?」
その浅黒い肌の男はディスクに座る禿げて太った黒人に対して言うのだった。
「ラスベガスまで」
「話が早いな」
黒人はそれに応えてにこりと笑ってみせた。白い歯がやけに目立つ。
「それならすぐに」
「それじゃあここにいても書けるじゃないですか」
だが男はこう返すのだった。
「それがこのレロン=フランコのいつものやり方ですしね」
「しかしだねフランコ」
黒人はそう言ってきたフランコに対して言い返す。
「私としてはそれはあまりよくないと思うんだよ」
「やっぱりあれですか。歩いてこそ」
「そう、例え我々であってもだ」
あからさまな嘘記事を書いているにしてもだ。
「そうでなくてはいけないだろう。ジャーナリズムなのだから」
「けれどカンセコ編集長」
あえてかどうかわからないがその黒人の名前と役職を言ってみせてきた。
「それで書いてもどうせ宇宙人ですよね」
「いいや、そうとは限らない」
だがカンセコはそれも否定する。
「ひょっとしたらイラクの芸能人が潜伏しているかも知れないじゃないか」
「うちの記事でしたらそれは有り得ますね」
その有り得ない嘘記事こそが売りなのだから仕方のないことではあった。もっともそれを信じて勝って読む人間もサンフランシスコにはいないのであるが。
「けれどそれなら」
「ここにいても出来るのかい」
「そう考えますけれど」
「よし、じゃあこうしよう」
フランコがどうしても行きたくないというのでカンセコは遂に切り札を出して来た。
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