蒼璧と紅刃
蒼色の鎧
1.旅立ち
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―――神下の島 燃え上がる町――――
―――それは幻想的な光景だった。
倒壊し、意味を失った大量の建物だった木材を燃料にし、天まで高く音を立てて燃え上がる炎
その中心に彼女は立っていた。
熱風に煽られてたなびくマントを付け、炎にも負けないほど紅い髪を持つ。
この戦場のような町のなかで凛と立つその姿からは確固たる威厳とともに一種の神秘性すら感じられた
そして彼女は目を細め苦笑いをしながら言った
「あー……ちょっとやりすぎちゃったかな?」
その目線の先にいたのは剣を持った男、その目に映るのは勇気は正義ではなく目の前の彼女に対する敵意や殺意だろう。
「クソ……王国の騎士たるこの俺がこんな邪悪な存在に負けるなど……」
「どうでもいいから早く帰ってくれない?蘇生呪文が禁止になった今、殺しはしたくないんだ」
「だまれ!今更善人ぶっても無駄だ、貴様には必ず我が聖の国からバツが下されるだろう!
『転移』!」
そう言った男の後ろに魔方陣が展開される、術式は転移、目に見える場所か事前に印をつけた場所に魔方陣によるトンネルをつなげる技
彼の体が少しづつ魔方陣をくぐっていく
追撃は飛ばなかった
「やっと言ったか……まったく面倒な奴らだ」
そういった彼女は少し緊張が解けたようだった、話しかけるなら今かなと思い近づく
「ねえ、お姉さん」
「わっ!っととなんだ子供か……」
そういった彼女はほっとした様子で息を吐く、先ほどまでとは違って凛々しい顔はしていなかったがその表情はどこかかわいらしくあった
「お姉さんはなんでさっき戦ってたの?」
「そんなことより坊や、こんなところにいたら危険だよ?早くここから離れるんだ」
「大丈夫だよ!なぜかわからないけど効かないんだ、そういうの」
そう言った自分の体に彼女がふれた、ほんのりと暖かく、そして優しい手
「……なるほど、魔力を防ぐ鎧の魔法……いや、どちらかと言えば神術に近いものか……?」
「お姉さん、質問に答えてよー」
「その前に一つ確認していいかい?この魔法はどのくらいからつかえた?」
「えっと、生まれた時にはもう使えたらしいよ?本にも載ってないんだって」
「そうか、じゃあ質問に答えるね、なんで私が戦ってたか、それに関係するこの大陸の秘密と一緒に」
―――――その日、彼女が話してくれたこの大陸のとある事実を俺は一字一句忘れずに覚えてる。
彼女が話の最後に言った
「いつか大きくなった君に会ったら、その時は君がどうしてるか、この話にどう思ったか、聞かせても らってもいいかな?」
と言う言葉も。
だから旅を始めよう
この燃え上がる町から一番離れた、そして彼女
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