1話 最初で最後の幸福感(ユーフォリア)
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だろうか?
僕は営倉に向かった。この施設は待機室と研究室と
通信室、営倉がそれぞれマンションのような部屋に連なっていて、部屋の形もすべて似ている。しかもそれぞれ1LDKなのだ。
待機室は雑魚寝をすると5人でいっぱいになるくらいだ。ちなみに営倉は四方を囲う鉄格子の中に捕虜を入れるのだが、脆すぎて素手で壊せるだろう。
「よ!」
「ああ。待ってたよ。カリヒ隊長」
「隊長はよしてくれよ」
「でも事実上は隊長なんでしょ?」
フランカが鉄格子の中から上目遣いで僕を見つめる。
「ああ。そうなるな。足は大丈夫か?それから奥歯」
捕まえる前はものすごく険しく、男とも見受けられる表情を纏っていたのにもかかわらず、今はものすごく話しやすく、女の子のようだ。
「大丈夫じゃないけど、恨んじゃいないよ。だって一応警告してくれてたんだし。それに従わなかったアタシが悪いよ」
「良かった。それで、君に問いたいことがある。うちは確かにゲリラ組織っぽいが、実際はレジスタンスを目指している感じなんだ。君たちの所の情報を提示してくれるとありがたい」
アーシャは包み隠さずに言葉をつなげた。
「そうだね。奴らはテロ組織だよ。この世界をあなた達とは逆方向に変革させようとしているの」
「つまり、僕らは政治権の略奪だが、奴らは現世界を破壊するのが目的と言うわけだな」
今現在、この世界を取りまとめている、シャルラッハート・ワシントン。アメリカの首相なのだが、はっきり言ってこの世界を裏から支配しているような人間だ。それが見え隠れしているところが、僕らは気に食わない。彼は世界の形を変えた。悪い方向へと変えた。まずは、全世界に三度、四度と奴隷制度を作った。普通なら批判されるのが筋だが、どんな魔術を使ったのか知らないが誘導するように全世界に促した。僕らレジスタンスの半数以上は奴隷だ。
しかし、敵の敵は味方とも言うのにもかかわらず、僕らゲリラ組織とやつらテロ組織が昨日、戦闘を起こしていたのには理由がある。奴らにはアメリカ軍へのパイプが有ったからだ。短気に暴怒した上官は僕らを派遣して奴らを殲滅せよと任務を与えてきた。
「カリヒ。もし良かったらアタシ。SRAに入るよ」
「本当か?それは嬉しいな」
うちは人手が足りない。営倉に捕虜を入れるのはそれが原因だったりする。
僕は彼女の肩を担ぎ、通信室へと連れて行く。
「カイさん。終わったよ」
「フランカ・ネパール。16歳。SRA第三部隊カラーズに所属します」
フランカは通信室の中にいるカイさんに敬礼をした。
「そ、そうか。意外と簡単に説得が進んだようだな」
「あ、アタシ、以前は技術者をやっていました」
「ああ。じゃあ武器の手入れとかを頼んでいいかな?」
「はい!」
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