1話 最初で最後の幸福感(ユーフォリア)
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進する。敵戦車の砲塔がこちらへ向く。
僕は右側の履帯の速度を落とし、右へ旋回、再び速度を戻した。ロックオンをされにくくするために蛇行する。
『レッド1!撃ちづらい』
「未だ撃つな。ゼロ距離で主砲を叩き込むぞ」
『わかった!』
敵戦車の正面装甲から火花が確認できる。
『ブルー1です!レッド1ですね。感謝します』
おしとやかのリーナのホッとしたような声が聞こえた。さっきの火花の原因はM6 37ミリ砲。コードブルーの戦車の主砲だろう。コードブルーの扱う戦車は最大人数が4人の軽戦車。しかし、3人しか居ない為、この軽戦車の副武装をなくしているのだ。
「ああ。レッド1だ。突撃するよ!」
敵と距離を縮める。主砲2個分の隙間だ。こちらもあちらも主砲があさっての方向を向いている。そこで、ミレーナはRPGを撃ち放つ。敵の展望台に当たり、旋回速度を遅らせる。僕は左の履帯を止め、旋回ながら体当たりをする。その御蔭で砲塔が敵戦車の頭と胴の間に向いた。
「撃て!」
『あいよ!』
ミレーナは落ち着いた口調で引き金を引く。燃料タンクに直撃し、戦車は火を炊く。
「やった!これで敵は蒸し焼きだろうな」
『その前に出てくるだろ』
ブルー3、サジの声が聞こえる。
「出てきたら捕虜にする。だからブルー2。即座に装填をしてくれ」
『了解』
奴らは降伏するように出てきた。
「すげー。武器だけでなく人員も捕獲できるなんて!」
その後、僕たちは略奪した戦車をSRAの上層部に渡し、多数のお金を受け取った。
聞いた話によると、フランカ・ネパール以外の捕虜は上層部により、奪われてしまった。こちらは人員が欲しいのに…
「にしてもカリヒさんは凄いですよね。アタシは安全な所からじゃないと狙撃できないのに、前線に立って銃撃戦をしたり、戦車を操縦したり。もうヒーローみたいです」
アーシャは待機室で僕に話しかけてきた。
僕は紙タバコを加え、火をつけた。
「先日の作戦で、僕が殺した人数は2人だ。その意味。わかるかい?人を殺して評価を得たんだ。何れ僕も何か罪を償わないとね」
「そ、そうですか」
「今度射撃でも教えてよ。戦場に出た時、極力殺さずに生け捕りにしたいからさあ」
彼女と話を進めていると、リーナがやってきた。
「すみません。カリヒさん。カイさんが呼んでいます」
「ああ。わかった」
僕が呼ばれた理由は恐らくフランカ・ネパールのことだろう。
「やぁ。カリヒ」
「で、カイさん。要件は、捕虜の少女。フランカ・ネパールと面会することでいいのか?」
「ああ。正解だ。彼女がどうしても君と話がしたいそうでな」
「…」
散々痛めつけられたのに…何を考えているのだ?文句でも言うつもりなの
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