二十七話:終演
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まではただ殺し続ければ良かった。だがこれからは救わなければならない。
誰かを助け続けなければならない。
救えずに目の前で死んでいく人々を見続けなければならない。
決して以前のように助けることを諦めないように。これからずっと。
想像するだけで絶望してしまうような道のりだ。
だが、それでも歩き続けなければならない。
「話は終わりだ、早く準備をしろ」
「ふふふ、相変わらずせっかちだねぇ」
相も変わらぬ不気味な笑みを浮かべスカリエッティは準備へと向かっていく。
その後ろ姿に鉛玉を撃ち込んでやりたいという衝動を抑えながら切嗣は煙草を取り出しそこで手を止める。
しばらく箱を眺めていたが、やがて一本だけ取り出し残りは箱ごと握りつぶす。
「これが最後の煙草になるかな」
火をつけて深く味わうように煙を吸い込む。
しばらく煙の流れを見つめていたがフッと笑いを零しスカリエッティの向かった方へと自身も歩み始める。
不思議と体が軽く感じる。これから行うことに対して少し不謹慎なことを考えながら歩く。
「さて、準備は整ったよ。いつでもやってくれたまえ」
「…………」
「おや、君ともあろうというものが戸惑うのかい?」
声をかけるスカリエッティに対し、切嗣は無言で返す。
その様子にさらに笑いを深める科学者に切嗣はしかめた顔を隠すこともなく告げる。
「流石の僕も自分で“自分”を―――殺すのは初体験だからね」
コンテンダーを起動させ眉間に突きつけ押し付ける。
嫌悪感がないわけではない。だが、他人を殺すのに比べれば幾らか気が楽だった。
ゆっくりと引き金にかける指の力を上げていく。
「これが……衛宮切嗣、最後の―――殺人だ」
誓うようにそう呟いた後、鈍い銃声が響き渡る。
舞い散る脳髄と血液を見ながらスカリエッティはその場で一人だけ笑みを浮かべるのだった。
アースラで切嗣とスカリエッティの後を追っていたクルー達は一同に言葉を失っていた。
探索中に微かに観測された魔力反応を追ってサーチャーを飛ばした。
そして、衛宮切嗣を補足することに成功した。
だが、その衛宮切嗣の姿が問題だった。
「エイミィさん、はやてちゃんのお父さんが見つかったんですか!?」
「なのはちゃん、フェイトちゃん見たらダメ!」
『―――え?』
切嗣が見つかったことを知ったなのはとフェイトが飛び込んでくるのをエイミィが静止しようとするが止められずに変わり果てた姿を目にしてしまう。
遅れてやってきた、まだ眠っているはやて以外の八神家の家族も言葉を失ってしまう。
「うそ……お父さん」
シャマルが信じられないと首を振りシグナムに寄り
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