二十七話:終演
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私は彼とは同僚だよ。ああ、彼が言うには共犯者らしいがね」
「……あなたも世界を救おうとしとったんですか?」
「……くっ、ははは! ふははははは!」
はやてからの素朴な問いかけにホログラム越しだというのにゾッとするような嗤いが起きる。
問いかけたはやての方は一体何が起きたのか分からずポカンとする。
切嗣はまた始まったのかと苛立ちも隠さずに舌打ちで反応する。
「くふふ……まさか、この私が! そのような殊勝な願いを抱くものかね」
「だろうな」
「私の願いは欲望を満たすことだよ。無限に満たされることなどない欲望をね」
どこまでも貪欲に、己の欲望に忠実に、彼は生きることを望む。
彼の欲望もまた無限に沸き上がり、決して叶うものなどではない。
しかし、だからこそ追い続ける。何もかもを踏み台にしてでも欲望を満たそうとする。
そんな本質がどこか切嗣と似ているのかもしれない。
「くくく、偶にはこうして知らぬ者と語り合うのも悪くない。だが、あまり時間もない。君の今後について話そうじゃないか」
「……今までのやり方じゃ世界は救えない」
「だとしても、やはり支障が出るだろう? 場所を変えてゆっくりと話そうじゃないか」
そう言って指を鳴らすスカリエッティ。
すると切嗣の足元に強制の転送陣が展開される。
慌てる周囲。しかし、当の本人は落ち着いた様子で動くこともない。
切嗣とて自分の現状をどうにかする必要があるのは理解している。
故に抵抗などしない。
「おとん!」
「ちょっと、出かけてくるよ。はやて」
愛娘に優しく笑いかけて姿を消す切嗣。
それと同時にスカリエッティのホログラムも消える。
急いで転移魔法陣の解析を試みようとエイミィに連絡を取るクロノ。
だが、悪いこととは総じて続いて起こるものである。
「はやて!?」
「主!」
今度は突如としてはやてが気を失って倒れてしまったのである。
はやてに駆け寄る騎士達と少女二人を脇目にクロノは冷静にアースラへの転移を頼む。
「エイミィ、アースラへの転移を頼む。それと転移先は分かったか?」
【はやてちゃんの方はすぐに! でも、転移の方は複雑すぎて……これ頭おかしいよ】
「そうか……」
後をつけられないように常人では解析できないレベルで複雑化された魔法陣に頭を抱えるエイミィ。
クロノも相手はただの自信家ではなく、それを裏付けする実力を肌で感じる。
広域次元犯罪者に魔導士殺し。二人がどんな関係なのかは詳しくは分からない。
しかし、これだけは分かる。自分が本当に心休まる時はまだ先だということだけは。
「やあ、直接顔を合わせて話をする方がやはり趣があるね」
「それで、僕がこれか
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