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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第弐話 救世主,光臨
2-1 違和感
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いた。
「俺たち華撃団がこうして演劇を行って稼いでいるのはな、世間と帝都に仇名す者たち全てに対する目くらましと、光武を操縦するために必要な『霊力』を調整・強化するための重要な見合いなのさ」
「霊力…?」
「花組をはじめとした、この帝劇に所属している戦闘部隊のメンバーたちには、その力が宿っている。それが降魔を打ち破る唯一つの力なのさ。だが、光武を動かせるのは花組クラスの霊力の持ち主、世間じゃ光武を操縦するのに必要な量の霊力は年若い女にしか発現しねぇ上にめったに見られない。奏組のボウズ共のように、他の部隊の連中の霊力じゃちっこい降魔しか倒すことはできねぇ」
それを聞いて、ジンはマリアたちが操縦している光武が駆けつける直前に降魔と交戦していた、若い男性で組まれていた戦闘部隊の姿を思い出す。彼らには光武を操縦できるだけの霊力が備わっていない。光武を動かすことができなかったから、結局マリアたちに後を任せるしかなかったのだ。
「霊力を高めるため、正体を世間に隠し通すため、光武をはじめとした対降魔兵器の資金集めのため…だから普段この劇場で舞台をやっている…そういうことですか?」
「おう、その通りだ。理解が早いな、流石だ」
少し誇らしげにジンに笑みを見せてきたが、ジンはちっとも笑おうとしなかった。この帝国華撃団の正体は既に理解した。だが、まだ分かっていないことがある。そしてそれは、ジンにとって最も重要なことだ。
「で、お前の正体についてなんだが…」
ごくっと、ジンはつばを飲み込む。一番知りたいと思っていた真実を…自分の正体をついに知ることができる。期待に胸の鼓動が早まる。
が、返ってきたのは予想外の返事だった。

「すまんな、実を言うと俺も詳しいことは知らん。元々お前がどこの人間で、どんな人生を歩んできたのか…俺もわからない」

「なッ…!?」

知らない、だと…?
「前に、お前が巻き込まれたって言う海難事故のことを話したよな?あの事故は、お前以外に生存者は一切発見されていない。
たまたま軍の連中が救助のために出動した時にお前が発見された。だが、あの時のお前は先日由里と出かけた時に起きた事件と同様に、赤い巨人の姿になって暴走してやがった。それを何とか、軍の連中が抑えてたのよ」
ジンは期待を裏切られたような、心の中にある何かを打ち砕かれたような感覚を覚えた。
なんてことだ…その自分が巻き込まれたという事故には、自分以外誰も生き残っていない。つまり…自分を知っている人達はこの世に存在していないということになるのだ。
「強力な霊力を持つと、確かに普通の人間には扱えない異能の力を手にする場合もあるが、お前の場合はその中でもあまりに…こういっちゃなんだが、異常性があるんだ。人間と異なる姿の巨人に変身する力ってのは、お前以外に見たことがねぇ」

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