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101番目の舶ィ語
第十七話。再戦の刻
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「ほう……面白い。『神隠し』か」

そして氷澄も楽しげに口を歪めた。
乗せられてるとは気づいていないようだ。

「氷澄、言うておくが、今お主めっちゃ乗せられているぞ?」

対して、ラインは冷静に突っ込んだ。
あれが熟年の余裕というやつか。

「そんなことは解っている。だが______俺に、俺達に勝てると思っているのが、どれだけ間違っているのか。教えてやらないとな?」

……気づいていて、それでもあえて乗ったのか。
いかにもプライドの高いタイプだと思っていたから、こういう挑発には乗ると思っていたが、気づかれていたというのは計算違いだ。乗せられているというのが解っていて。それでもあえて乗ってくるとは思わなかった。意外と警戒心が強い、用意周到な奴なのかもな。

「いいだろう。その提案、乗ってやる! 『神隠し』を手に入れる為にもな!」

その宣言を聞いた時、俺の中でも絶対に負けられない気持ちがさらに強まった。

「さて、頼むわよモンジ。あんた、絶対勝ちなさいよねっ」

「ああ、解ってるよ。ありがとうな、音央、鳴央ちゃん。おかげで俺ももう後には引けなくなった!」

「はい、モンジさん、信じています!」

俺は音央と鳴央ちゃんの手を一つずつ握ると、そのまま氷澄、ライン、ジーサードの方を見て。

「行くぜ!」

そして駆け出した。

「______この桜吹雪______散らせるものならッ!」

音央と鳴央ちゃんも同時に走り出し、俺が手を離すとそのままラインに一直線に向かっていく。


「散らしてみやがれッ!」

______パアァァァァァァァァァン??

俺の拳の先から銃声にも似た衝撃音が上がり、拳の先から音速を超え______円錐(ヴェイパー)水蒸気(・コーン)が放たれる。

『桜花』。時速1236qにもなる。音よりも早く相手を打ち負かす。
俺の得意技だ。

「何をしてくるかと思えば、突っ込んでくるだけか」

口元に笑みを浮かべながら、氷澄は振り向いた。

「おりゃあああ!」

拳を氷澄に向けて突き出す。が、氷澄の体は青い残像を残してひらりと俺のパンチを躱していた。

「くっ、幻か。これも『幻の邪眼(ファントムアイズ)』の能力か」

「俺の目を見ていた者は、現実と虚実の認識があやふやになるのさ」

「なら、これならどうだ______!」

俺は一度後退をしてから再び氷澄に向かって駆け出し、そして全身の筋骨を順番に連動させていく。
音速を超える突きを氷澄に向けて繰り出す為に。

『イメージは世界を、ロアを変える力を持つ』

キリカと初めて戦った日に言われた言葉がふと頭の中で思い浮かぶ。
俺の持つロア。
『|不可能を可能にする男《
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