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101番目の舶ィ語
第十七話。再戦の刻
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のか」

「お前だけだよ、俺をちゃんと名前で呼んでくれたのは……お前、やっぱり良い奴だな」

「いや、俺がいきなりお前をモンジとか呼んだら、仲良すぎだろ」

「確かに……愛称で呼ばれるくらい仲良しになってしまうわけか。参ったな。俺にはそっちのけはないから女性に愛称で呼ばれるのならいいんだけど……いや、しかし、親しくなるのは問題ないか。こっち関係に男友達っていないしな……」

大変悩ましい問題だ。

「解るぜ、兄貴。俺も何度言ってもキンゾー、キンゾーって呼ぶ奴らがいるせいで、何度ブチのめそうかと思ったことか。やっぱり呼ばれるなら美しく、周りの奴らがビビるくらいのカッコイイ愛称で呼ばれたいよな、男なら!」

と思っていたら、ジーサードが凄い勢いで喰いついてきた。
ああ、やっぱりお前も苦労していたんだな、俺と同じような問題で。

「え?? わかっちゃうのか! ジーサード」

「キンゾーはキンゾーじゃろ? ジーサードより呼びやすくていい名前じゃと思うがな。
ジーサードじゃとジジくさいしのぅ」

確かにジーサードはじーさんと間違えやすいが。

「おい、ライン! てめェは後で殴る!」

そして、そんなジーサードに反応する人達がいた。
うん、意図してやってはいないが、俺のペースに相手を巻き込むことができた。
こういう戦法を得意とするのが一之江だ。おかげで、戦闘面におけるイニシアティブは取れていた。
場の空気を支配する者が、後の戦いも制する。
それは、戦では当たり前のこと。

「ま、それはさておき。俺だって、こんな提案をタダでするつもりはないよ氷澄」

「ほう……取り引きというわけか」

「ああ。だけど俺には差し出せるものが何もないからな」

そう。俺には差し出せるものなんて何もない。
俺の物語達を差し出す?
そんなものは論外だ!
大事な人達を差し出すつもりなんてさらさらない。

「だったら、何で取り引きするつもりだ?」

「俺達が勝ったら、今の提案を考えてくれ」

「なるほど。それで、俺達が勝ったら?」

「あぁ、俺を……」

好きにしやがれ!
と言いかけたその時。

「私達が貴方の物語になるわ!」

今まで黙っていた音央が高らかに宣言してしまった。

「おい、音央??」

止めようとしたが。

「私たちは『神隠し』。先ほど見た通り、その能力はかなり有効です!」

それに続いて、鳴央ちゃんまでもが強い口調で告げた。

「い、いや、何を言っているんだ、二人共、そんなこと」

「いいのよ、勝てばいいんでしょ!」

「そうです、勝ちますよ、モンジさんっ!」

しまった、二人共熱血状態になっている。これは何を言っても止まりそうにない。

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