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101番目の舶ィ語
第十六話。情報共有
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のは初めて見た、って。一之江さん可愛いのにこんな風にするの酷い、むかつくー、って」

「こらこら! そういう鳴央だって、さっきまでめそめそしてたじゃない! 『私が強ければこんなことには……』とかなんとか!」

「あっ! ね、音央ちゃん、それは……っ!」

「くっ、はははっ!」

二人がいい争ってるのを見て。
俺は笑ってしまった。

「むっ」

「お、おかしかったですか……?」

「いや、元々同じ人物とは思えないほど違うよな、二人とも。良かったよ……どっちかを選ぶみたいな選択をしないで。俺はやっぱり、どっちもいてくれる。そんな選択をして本当に良かったって思う」

「何言ってんの」

「ふふ、そうですよ。私たちから見たら、モンジさんがいてくれて良かった、なんです」

「あたしも、ずっと知らないままでいたくなかったからね。本物の自分のことも、知らないうちに消してしまった人達のことも。あんたのおかげよ、モンジ」

「だから、私たちもちゃんと貴方の物語として、役に立てて下さい」

ドキッ、とするような笑顔でそう言ってくる二人。
強気だけど、優しくて繊細な美少女な音央。
お淑やかで泣き虫だけど、優しく、芯が強い鳴央。
……参ったな。
同じ顔をしているが、性格は全然違うのに。
『優しい強さ』。
こういう、根底はやっぱり一緒なんだな。
そんな優しい言葉をかけられたら……耐えられないぞ。
特に、こっちの俺は。

「それなら心配いらないよ?
______君達は俺の。俺だけの物語なんだから」

優しい二人の笑顔を見ていたら、胸がドキドキしてしまった。
まあ、視線がお胸様にいってしまったというのもあるが。
そう。また……なっちまった(・・・・・・)のだ。
そんな二人に優しくされている俺だが。
我ながら、節操ないなー、なんて思ってしまう。
一之江に庇われて。
傷ついた一之江の顔をマトモに見れなくて。
周りに心配かけて。
キリカの家に行ったかと思えば、誘惑されてドキドキして。
キスまでしてしまって。
自宅に戻れば可愛い妹と楽しくおしゃべりして。
そして今度は……可愛い美少女姉妹に慰められている。
どうしてこうなった?

「な、何言ってんのよ。ばーか。調子に乗るんじゃないわよ」

「そ、そうですよ。そういうのは私たちだけにではなくて、一之江さんにも言ってあげて下さい。
でないと、怒られますよ?」

「うん? 一之江に?」

一之江が怒るのはやっぱり節操がないからだろうか?
俺が他の女子にしでかしてしまった、そういった方面のことでは特に厳しいからな、一之江は。
こっちの俺がちょっとラッキースケベを発動させただけで、ツンツン、グサッ! と、刺してくるような奴だ
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