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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-4 変身
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出を!』
通信回線越しにマリア、帝劇の作戦司令室のかすみから必死に逃げるよう訴えられるが、アロンへの恐怖心で心を満たされてしまっていて、まるで聞こえなかった。


「すみれ、何してる!光武を捨てて早く逃げろ!」
作戦司令室からは、米田もまたすみれに脱出を呼びかけていたが、応答はなく、彼女の悲鳴がうるさく響くだけだった。
待機組のアイリスは、まるですみれの恐怖を感じ取っているのか、ぎゅっと自分自身の肩をつかんで震えた。

しかしそのとき、アイリスは感じ取った。

「米田のおじちゃん…」
名前を呼ばれ、米田はアイリスのほうを振り向く。
「どうした、アイリス?」
「何かが、来る…別の何かが」
「別の何か?まさか、敵か!?」
敵の出現を、アイリスが予知したのだろうかと考えた米田だが、アイリスは首を横に振った。
「うぅん。違うの…もっと違う…何かが来るの」
それが何なのか、まだ子供で選ぶべき言葉を覚えていなかったから、というわけではない。事実、自分が今感じ取ったものが何なのか、あまりに得体が知れなくて説明できないのだ。


アイリスが感じた『何か』の正体は、その直後に判明する。


ジンは、体を引きずりながらアロンを睨みつけていた。対するアロンは、ジンよりもすみれの方に注意が向けられている。
「すみれ!」
彼女を救おうとマリアが光武に搭載された銃で銃撃し、すみれが逃げられるだけの隙を作り出そうとする。弾丸はアロンの首筋に被弾し、隙そのものを作り出す事ができた。しかしすみれ機は動きを見せない。
(く、やはり…すみれの光武、故障していて動けないのか…!)
自身の光武の中で、マリアはすみれ機をみて苦虫を噛んでいるように顔を歪ませた。こうなったら、自分が劣りになって注意を引き付けるしかない。無駄撃ちすることがないよう、残弾をなるべく把握しつつ引き続き銃撃を続ける。
さすがに何度も攻撃を受け、アロンはマリアに怒りを露にし、口から一発の光弾をマリア機に向けて放ってきた。
間一髪、攻撃を予測したマリアはすぐに回避に入るも、爆風によって彼女の光武は吹き飛ばされた。
「っぐ…」
今のでもかなりの損傷が光武に入った。しかもモニターには警告の文字が浮かび、光武にガタが付き始めたことを物語らせた。
アロンは、すみれのほうを放り出し、今度はマリアの方へ向かっていく。
ジンはその光景を見て、焦りを募らせた。
「やめろ…」
このままでは、すみれやマリアが殺されてしまう。
だめだ、そんな事をしたら…。彼女の芝居を楽しみにしている人たちが、帝劇のみんなが悲しむ事になる。
椿姫役までガチで死んでしまうなんて笑い話にもならないじゃないか。
アロンが、降魔よりもおぞましさを感じさせる鋭い口を開き、マリアに喰らい付こうとした。


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