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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-3 大帝国劇場のジン
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『帝劇の秘密』は知らせないでやってくれ」
「え?ですが支配人…」
「こっからさきは、俺の個人的感情も混じってる。軍人としちゃあってはならねえもんだってのはわかる。けどな…」
そのときの彼は、マリアを直接見てはいなかった。まるで懇願するかのように、手杖の向こうで頭を垂れ、
「俺はもう、あいつを…」
米田はそこで言葉を切った。
「司令?」
一体どういう意味だ?なぜ、米田はこんな顔を浮かべるのだ。マリアは困惑した様子で、手杖に目を落とす米田の顔を見る。
…悲しい目だ。その目には、自分も覚えがある。
「…いや、何でもねぇ。とにかく、万が一バレたりすることでもない限り、口にするのは避けてくれ」
「わかりました…」
ジンが現れてから、時々米田はあの顔をよく浮かべるようになった気がする。いつもは飲んだ暮れのふりをしているようで、その実は帝劇で最も自他に厳しく律するマリアでさえ関心するほどだ。そんな彼をあのような、悲しそうとしか言えない顔を浮かべさせた若者、ジン。

(『米田ジン』、一体何者なの…?)

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