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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-3 大帝国劇場のジン
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ってよかったじゃん。
たぶんアイリスが舞台の稽古中、誰も気づいてない間に積み上がった服が倒れちゃったから隠れてたんだ」
「うん、ありがとうジン♪」
アイリスはジャンポールの頭を愛おしそうに撫でながら頷いた。


「支配人…」
その頃、支配人室。そこではそのマリアが米田と話をしていた。
「マリアか、どうしたんだ?」
「あのジンという男…本当に支配人のご子息なのですか?」
記憶がないはずだが、見たところ何事もなく普通に仕事をこなしていた。一般常識までは忘れているわけではないのが伺えた。
「アイリスには、人の心を読む力があります。そのアイリスも彼の記憶がないことを行ったことからすれば、彼が本当に記憶を失っていることも信じられます。ですが…」
「へへ、俺が酔った勢いで行った戯言だと思ってるか?」
「いえ、そういうわけではないのですが……どうして支配人は、地下の医療カプセルの中に彼を隠していたのですか?」
そう、気になっていたことはそこ…ジンが帝劇の地下で眠っていたことだった。まるで、同じ帝劇の者である自分たちにさえ明かせない秘密中の秘密…トップシークレット扱いとされている秘密兵器のような隠し様だ。
「それはな…」
米田はそこで、言葉を一時途切らせる。どこか思いつめたような表情。こんな顔を米田はあまり見せなかった。
「支配人?」
「…あ、すまん。ついな…。
まあ、それはともかく、そんなにあいつを疑うなら、アイリスに頼んでみればいい。戸籍もとっくの昔に作ってあるし、俺が嘘をついているかどうかなんてわかるだろ」
「いえ…私こそ詮索しすぎたようです」
アイリスのことを引き合いに出してきた米田。それは彼が自身の言葉に絶対的なものがあることを意味していた。
なぜかアイリス…あの幼い少女を引き合いに出したのか不明だが。
考えてみれば、自分の上司の家族事情について、部下の一人に過ぎない自分があれこれ言うべきじゃないはずだ。それに、自分は米田が立派な人間であることを知っている。それだけの人が、こんな顔を浮かべさせるほどの人なのだとしたら、少なくともこの帝劇に害をなすような存在ではないと考えるべきかもしれない。
「まぁ、なんだ。あいつは言ったとおり自分の過去を忘れちまってる。そんなあいつに力になってやれるのは、この帝都どころか、世界の中でも俺たちだけだ。
マリア、無理にとは言わねえが…」
「…可能な限り、同じ帝劇の仲間として接してみます。米田支配人がそこまで大切に思われているのなら、信じます」
「…ありがとな、マリア」
血の繋がった父親のような笑みを見せた米田に、マリアも自然と笑みを返し、支配人室を後にしようとする。
「おっとそうだ。最後に」
米田はマリアに一言声をかけて引き止めると、神妙な表情で告げた。
「あいつには、この
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