暁 〜小説投稿サイト〜
ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-3 大帝国劇場のジン
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の人たちについては私たちもあまり…」
「まるでどこかの秘密部隊だね」
ジンが、同じ組織内なのに、お互いの組が違うだけで奇妙な距離感を感じる環境を聞いて苦笑する。
(…間違いじゃないですけど)
「ん?椿ちゃん、今何か言った?」
「い、いえいえ!なんでもありません。じゃあ私、もう遅いのでそろそろ帰らないと。明日に響いちゃいますから。
じゃあジンさん。また明日」
「あ、うん。また明日ね」
帰り支度のため、椿はジンのもとから去っていき、ジンはそれを手を振りながら見届けていった。
「秘密、か…」
ふと、ジンは自分が言った言葉を振り返る。
秘密といえば、自分はどうなのだろう。米田は自分のことを昔から知っていたような口ぶりであった。
とりあえず暇な時間を自分のことを聞いてみた。といっても、米田は帝劇の支配人という立場にあって思った以上に多忙だ。話をする時間を長く取れない。
目覚めたときは、米田の知り合いの息子で、海難事故にあったところを保護した…と言っていた。
海難事故…か。そういえば…夢を見たな。

自分が、水のそこに沈んでいくイメージの夢を。

(……)
でも、水に沈んでいく光景を夢の中で見たが、本当に身に覚えがある感覚が一切なかった。記憶がないから、それもある。けど…なんだかそれだけじゃないような気もする。
「あ、ジン。何してるの?」
ふと、声をかけられ、ジンは後ろを振り返った。
小柄な金髪の、まるでフランス人形のような少女。帝国華撃団花組最年少メンバーのアイリスこと、イリス・シャトーブリアンだ。
「アイリスか。見ての通りお掃除だよ。今日もお客さん多かったから。アイリスは?」
「舞台のお稽古だよ」
「すごいよな、アイリスって。こんな時間まで稽古してたんだ」
「ふふん。アイリス、女優さんだから」
だから一生懸命サボらずにお稽古をしなくちゃ、と少し得意げにアイリスは付け加えた。
「あれ、いつも持っているあの熊の人形は?」
アイリスは常に、『ジャンポール』というテディベアを持っている。けど、今は珍しい事にそれを手持ちに持っていない。
「うん、ジャンポール、どこかに置いてっちゃって…今探しているところなの。早く見つけてあげないと、寂しがっちゃうから」
どうやら無自覚のうちにどこかにおいてそのままにしてしまい、どこにおいたか忘れてしまったようだ。
「よし、僕も一緒に探すよ」
「ほんと!?ジンってやさしー!」
自分も一緒に探すと言ってくれたジンに、アイリスは目を輝かせた。
「はは、これくらいお安い御用だよ。じゃ、ジャンポールを迎えに行こうか」
「うん!」
初対面の形があまりよろしいものではなかったので、当初はぎこちなかったものの、話していると結構話のわかる子だった。それに天真爛漫な明るい彼女を見ていると
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ