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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-3 大帝国劇場のジン
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』
『ま、まだ買うんですか…?』
『あたりまえでしょう?まだ後10店舗の予定なのですから』
『じ…10…!?』
数日前、ジンはすみれに銀座への買い物に付き合わされたことがあった。すみれは記憶がないジンに荷物運びを容赦なく任せたのだ。米田の話だと、すみれは元々とある企業のお嬢様らしく、大人っぽさを混じらせた外見のわりに、立ち振る舞いも性格もまさにわがままお嬢様そのものだった。おかげで、自分は大荷物を運ばされて、さらし者状態だ。すみれはというと、地元でも有名な女優というだけあって、歩いている人達から注目されていた。…自分は一切荷物を持たず、もっている者といえば日傘一本。まぁ…大荷物を運ぶお嬢様なんて絵にならないが…
(あの時は疲れたな…おかげで次の日は筋肉痛だよ)
加減を知って欲しいものだ。やめよう、考えると疲れてきた。アイリスの話でも振ってみよう。
「アイリスも、まだあんなに幼いのに…確か、年配の人達から特に人気なんだよね」
「はい。あ、でもジンさん…あまりあの子を子供扱いしないであげてくださいね。結構気にしてますから」
「はは…いっぺん身にしみたよ」
一方でアイリスは、わずか10歳。まだまだ幼い少女だ。本名は『イリス・シャトーブリアン』といい、彼女もフランスの名家出身だ。ただ、精神的にもまだ子供なだけあってか、逆に「アイリス、子供じゃないもん!」と言い返してくるほど子ども扱いされることを嫌っている。一度そのことを指摘したジンは、アイリスを膨れっ面にさせて1日ほど稽古に支障をきたさせてしまい、さらにすみれまでも稽古の邪魔をされたと、ジンを一時目の方気にしたことさえあった。
しかし、いざ演劇となると彼女たちはまさに『変身』していたともいえた。
すみれに、人を感動させるような演技力があったことにも驚かされたものだ。自称でも帝劇トップスタァを名乗るだけはある。アイリスも幼いながら、観客を十二分に引き込むほどの強い魅力を、マリアもリーダーにして唯一の男性役を引き受けるほどの凛とした佇まいと演技力で、自分を含めた客の視線を釘づけにしたものだ。
「けど…あ〜あ。私も見たかったな…特にマリアさん、今日もきっとすばらしい演技だったんだろうな…」
「そっか、椿ちゃんは売り子さんだから」
「はい、売店から離れられないんです…」
ジンはまだこの帝劇での見習い雑用係で、今は留まっている。暇さえあれば劇を見ることができるが、一方で椿は公演中の時間も、常にこの売店に留まっていなければならなかった。
特に彼女は、花組の中でも特にマリアの演技に熱い視線を向けていた。同じ女性から見ても、マリアのそこいらの男性よりも美しく凛とした姿に引き込まれる同性ファンも多いとのことだ。
(そういえば、まだマリアさんのこと知らないままだな…)
しかし、ジンはまだ帝劇で
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