13.将来を真剣に悩むと不安になる。楽観視すると失敗する。どうすればいいの?
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<セントベレス山−山頂大神殿建設地>
目の前で父を殺され、自由を奪われ早10年。
奴隷へと身を落とされ、10年間過酷な労働を強いられた俺は今日も鞭で打たれている。
(ビシッ!)
「歌ぁ、歌ってねぇーで働け。ボケェ!」
「いたっ!いたいッスよ!旦那ぁ〜」
「てめーは目を離すとすぐサボる!いい加減にしろ!」
そう怒鳴り散らし獄卒は巡回を再開させた。
うむ?今日も怒られてしまった。
何だ?
選曲が悪かったのかな?
『それが大事』は、場の雰囲気に合っていると思ったのだが?
今度は『ガッツだぜ!』にしよう。
「お前は相変わらずだな」
振り向くとヘンリーがそこにいる。
「ヘンリーこそ、またサボってんのかよ」
「俺のは『ちょっと、一休憩』だから」
「随分長い『ちょっと』だな…何でサボってるヘンリーは怒られなくて、頑張っている僕ばかり怒られるんだ!?」
「…お前、歌ってるからだらろ」
「みんなの心に活力を与える為に、頑張って歌ってるのにぃ〜!」
「………」
翌日早朝、タコ部屋(奴隷達が食事と睡眠をする部屋)に新人がやって来た。
かなりの美人!
これは仲良くなるしかないね!
「やぁ!お嬢さん。僕はリュ(ドカ!)カはぁ〜………」
ヘンリーにドロップキックをされた。
「お前はマリアさんに近づくな!」
へー、彼女マリアさんって言うのかー…じゃなくって!
「何すんのヘンリー!」
「お前はマリアさんに近づくなと言っている。彼女が汚れる!」
何かひどい事言われている気がする。
「そんなヘマはしないよ!それに今まで全部ヘンリーが邪魔してきたじゃないか!」
「当たり前だ馬鹿!もし彼女が身籠もりでもしたらどうする!ここでは身籠もった女は殺されるんだ!」
そう…妊娠した女性は働き手として役に立たない。
産まれてくる子供も無駄飯ぐらいと見なされる。
奴隷同士で愛し合い、殺される女性を何度か見てきた…
更に許せないのは獄卒の慰み物にされた挙げ句、身籠もった為殺すという事もある事だ。
俺たちに人権は無い…イヤになる!
タコ部屋でダベっていると、いつの間にか時間になっていた。
今日もステキな20時間労働!
他の奴隷が二人がかりで運ぶ様な木材を、一人で運び(10年間の努力の成果)マリアさんの事を思い出す。
酷い話だ…長年に渡り教団に使えてきたのに、教祖のお気に入りの皿を割っただけで奴隷かよ!
番町皿屋敷を思い出すね。
最近の若い子は知らないかな?
そんなこんなで俺は鼻歌交じりで『ガッツだぜ!』を歌い木材を運んでいると、前方の人集りの向こうで女性の悲鳴と鞭の音が聞こえる!
「またか…」
そう呟き、俺も人集りの中へ入る。
みなそれぞれの仕事の手を止め、一人の奴隷とその奴隷に
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